ジェラード退団に見る「生涯1クラブ」を貫き通すことの難しさ

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェストWeb編集部

2015年01月04日

添い遂げるか“離婚”か――注目される生え抜きとクラブの関係。

磐田の顔的存在だった前田も新天地へ。「1クラブ」を貫くには様々な要素が必要となる。 (C) SOCCER DIGEST

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 一方、南米出身選手の場合、自国で活躍すれば即欧州のクラブから引き抜かれるという流れが昔から出来上がっていることで、「1クラブ」を貫ける一流選手は歴史的にも非常に少ない(ブラジルの場合は近年の好景気もあって、今後は増加するかもしれないが)。
 
 そんななかで、類まれな技術を有して魔法のようなプレーを披露し、あのディエゴ・マラドーナをはじめとする多くの名選手に憧れながらも、インデペンディエンテで20年間(1972~91年)のキャリアを全うしたアルゼンチンのリカルド・ボチーニは非常に珍しく、少なくとも同国ではおそらく二度と見られない例となるのではなかろうか。
 
 日本に目を向けると、名古屋グランパスひと筋で14年間を過ごしてきた中村直志が昨年引退したが、やはりJリーグでも選手が生涯1クラブを貫き通すことは、クラブ側の戦力的、財政的事情によって非常に難しい。あのジュビロ磐田のシンボルだった中山雅史も、42歳(!)の時にコンサドーレ札幌に移籍している。
 
 過去を振り返ると、社員選手ばかりだった日本リーグ時代は別として、Jリーグ創設以降に移籍を経験せずに長いキャリアを過ごした選手は決して多くない。トップリーグに限れば、ここ数年では前述の中村の他に、2013年に引退した山田暢久(浦和レッズ)、伊藤宏樹(川崎フロンターレ)ぐらいである。
 
 ちなみに現在の現役ベテランJリーガーで、「1クラブ」続行中の主な選手は、鈴木啓太(浦和)、本山雅志、曽ヶ端準(鹿島アントラーズ)、森崎和幸、森崎浩司(サンフレッチェ広島)、榎本哲也、栗原勇蔵(横浜F・マリノス)といったところ。鹿島の青木剛は前橋育英高在学中の2000年に特別指定選手として浦和でプレーしているが、プロとなってからは鹿島ひと筋でプレー中だ。
 
 いまや敏腕代理人の存在などによって金銭面が重視され、選手としては「1クラブ」を貫くことが必ずしも美徳ではなくなり、さらにそこにクラブの事情も合わされば、今回のジェラードのようなケースは今後、ますます増加するだろう。
 
 磐田で15年間を過ごした前田遼一も今冬、ついにFC東京へ新天地を求めたが、いずれにせよベテラン生え抜き選手とクラブの“夫婦関係”の結末は、添い遂げる場合でも“離婚”となる場合でも、国内外に限らず大きな注目と関心を集めることとなる。
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