監督は専任であること。プロとアマチュアの両方を知っている指導者であること。そして、大学サッカーも熟知していること。まさに島岡健太新監督は、2019年シーズンを踏まえたうえで最適な人選だったと言える。そして驚くべきは切り替えの早さだ。
「切り替えが早いのと、ポジティブに考えるのは得意です。今シーズンうまくいかなかったのも、そういうシーズンがあった方が後の喜びが大きくなる、と切り替えています」
キャリアの詳細については前回のインタビューを参照いただくとして、そこには、岩本GM自身のこれまでの仕事で培ってきた経験がある。
「中小企業の経営をした時に経験しましたが、1回の失敗でくよくよしている場合じゃないんです。切り替えないと。だから、今回も切り替えざるをえないくらいすぐ動きました。2019年シーズンの最終節の1週間前には福西監督に話をして、次の監督のリストアップをして、高橋先生と及川理事長に話をして了承してもらい、シーズンが終わる前に島岡さんとも会いました。新監督候補は3人くらい挙げていたのですが、まだシーズンが終わっていないので現役の監督には話ができない。そこでまず第1候補の島岡さんからオファーをしていこうと」
早々と新監督が決まった。では、2020年シーズンの南葛SCはどのようなサッカーになるのか。
「2019年のつなぐサッカーを単純に上積みすることにはなりません。新監督には新監督のサッカーがあるので。でも、福西監督が作り上げてくれたベースをわざわざ捨てる必要はないと思っていて。やるサッカーはともかく、ベースは一緒ですから。たとえ守備的に戦うことになってもボールをつながなくていいということにはならない。つなぎに関して、チームは以前より明らかにレベルアップしています。それを試合でどう使うか。その点に問題があったと思うので。あとは、課題だったセットプレーであったり、守備の約束事であったり、これらに関しては先に話をしてあります」
目標は変わらない。関東リーグ昇格を“自分たちの手”で勝ち取ることだ。
「理想のサッカーというよりは、より高い確率で勝点3を取っていくサッカーを志します。でも、これはカテゴリーによって変わってくる。負けたらあらゆることを言われます。東京都1部リーグを制しようとすれば、やはり相応の戦い方があります。でも、それではその後に控える関東リーグ昇格トーナメントを勝ち上がれない。勝ち上がれない、というより、じゃんけん=運任せになってしまう。できればじゃんけんにはしたくないですね」
切り替える部分と切り替えない部分を素早く判断し、決断し、実行する。しかし、岩本GMが下す判断は決して独断ではない。選手とスポンサーと、そしてサポーターたちと関係者の思いを全て聞きとり、判断材料としていた人知れぬ日々があった。(文中敬称略)
※第2回に続く。次回は1月3日(金)の公開予定です。
取材・文●伊藤 亮
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