モダンフットボール最前線 「システム」から「ユニット」へ――ボールポゼッションについての新たな考え方

カテゴリ:ワールド

マッシモ・ルッケージ

2015年01月01日

偉業の原動力となったアンチェロッティの対応力。

興味深いのは、サッキ直系の哲学を持っていたアンチェロッティ(右)の変化。現在は個を活かすための戦術的秩序を構築する思想に。 (C) Getty Images

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 相手にボールと地域を支配されて困難に陥っているように見えるチームでも、ひとつの効果的なアクションによってゴールを奪い、勝利を掴めるのがフットボールだ。
 
 ゴールを挙げるためにまずは守備を固める、あるいはリードを守るために攻撃する。こうした思考やスタイルが成立するのは、このスポーツの多様さゆえだ。
 
 守りを優先する戦術を用いて勝利を掴むというアプローチを選択する場合、守備の局面における秩序と戦術的規律を確立すること、それを実現しコンスタントに維持するための献身と自己犠牲をチームに植え付けることが、根本的な課題となる。そしてその土台の上に戦力として必要になるのが、ひとつのプレーで試合を決定づける特別な才能を備えた偉大なプレーヤーだ。
 
 この哲学に基づいてチームを構築する能力に優れた指揮官の代表が、モウリーニョだ。強いパーソナリティーを持ち、偉大なプレーヤーに自らの戦術を受け入れさせ、それに適応させてコレクティブな組織を機能させつつも、試合を決定づける力を持った特定の個人の能力を引き出す形でチームを構築し、勝利に導いている。
 
 その対極にあるのがグアルディオラだ。ボールポゼッションに基づく攻撃のフィロソフィーをチームに植え付け、常にボールと地域を支配し主導権を握って戦うスタイルを機能させる手腕に関して、ペップの右に出る者はいない。
 
 対極的な2人を基準にした時に興味深いのは、21世紀に入ってもっとも多くのビッグタイトルを勝ち取った監督であるカルロ・アンチェロッティの変化だ。
 
 当初は、監督があらかじめ定めた戦術的秩序を選手の特性にかかわらず優先する、師匠のアリーゴ・サッキ直系の哲学を持っていた。しかし現在は、個人のクオリティーを活かすため、それに最適化された戦術的秩序を構築する思想(彼自身が「オーダーメイド」という言葉を使っている)を、もっとも高いレベルで実現する監督となった。
 
 その対応力が、過去12年間で3度のCL制覇を成し遂げ、イタリア、イングランド、フランスのリーグタイトルを勝ち取る偉業の原動力となったのは、間違いないだろう。

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