【W杯 検証】ドイツはなぜ優勝できたのか――代表番記者が振り返る

カテゴリ:国際大会

マルクス・バーク

2014年07月16日

ラームを本来の右SBに戻した決断がひとつのきっかけに。

ムスタフィの故障離脱をきっかけにラーム(右)は本来のポジションへ。合わせて、シュバインシュタイガー(左)とケディラの復調が大きかった。 (C) Getty Images

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 リオデジャネイロ・レブロン地区のビーチに面した気品のあるホテルは、ワールドカップ優勝を祝うドイツ代表の酔いしれるようなパーティーに打ってつけの舞台となった。海から突き出る大きな岩には、4度のタイトルを意味する4つの星が投影された。

【写真】ドイツ代表 栄光の優勝メンバー
 
「このチームこそ、タイトルに相応しい。他のどのチームよりも」
 ヨアヒム・レーブ監督は優勝を決めた直後、マラカナンでそう語った。この言葉は正鵠を射ていただろう。輝くようなサッカーをしたのは、ブラジルを粉砕した準決勝など限られていた。しかし、ドイツ代表は大会を通じて最も効率的で意思が強かった。
 
 危うかったのは、ラウンド・オブ16のアルジェリア戦だ。パフォーマンスは弱々しく、細い絹糸の先にぶらさがったドイツの命運は、切れて落ちてもおかしくなかった。
 
 それでも延長戦の末になんとかアルジェリアを振り切ったこの試合こそが、優勝への道筋をつけた決定的な一戦だったと言えるかもしれない。スコドラン・ムスタフィが70分に負傷退場を余儀なくされると、レーブ監督はサミ・ケディラを投入して、フィリップ・ラームを中盤から右サイドバックに回した。以降、ラームを本来の右サイドバックに戻した指揮官の決断が、タイトル獲得の決定打になったとは言えないまでも、ひとつのきっかけにはなったと言えるだろう。
 
 中盤の底に置くラームの起用法を疑問視する声を無視するように、アルジェリア戦までそれを貫いていたレーブが、ムスタフィの怪我をきっかけにラームを右サイドバックに戻した。指揮官は決して意固地になっていたわけではなかったのだ。レーブに対する批判をDFB(ドイツ・サッカー連盟)は不当なものだとしていたが、ラームの起用法をめぐるこの一連の出来事によって、チームの団結力がさらに高まった側面はあっただろう。
 
 このムスタフィの故障離脱に合わせたように、バスティアン・シュバインシュタイガーとサミ・ケディラがコンディションを上げたのも、ドイツに追い風を吹かせた。ムスタフィと入れ替わるように調子を上げ、90分間、さらには120分間、問題なくプレーできる状態になったのだ。
 
 アルゼンチンとの決勝で、シュバインシュタイガーはピッチに立った誰よりも走った。走行距離は15.338キロメートルだ。120分間足が止まらなかったこのシュバインシュタイガーと、集中を切らさなかったジェローム・ボアテングが、ファイナルでもっとも傑出していた。
 
 ブラジルを撃破した準決勝ではトニ・クロースとケディラ、フランスを沈めた準々決勝ではマッツ・フンメルス、アルジェリア戦では「リベロ」のマヌエル・ノイアーが際立っていた。トーマス・ミュラーはポルトガルとの初戦でハットトリックをマークした。そう、ドイツは特定の個に依存するチームではなく、卓越した個の集団だったのだ。日替わりでヒーローが現われた事実が、それを裏付ける。

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