2019年シーズンのベストゲームは第10節の三菱養和戦

打倒・南葛に燃えるチームに対して、厳しい戦いを強いられた今シーズン。しかし、チームにも闘争心が植え付けられた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

今季キャプテンに就任した安田。インタビューでは、Jリーグの舞台を経験した選手だからこそ見えるチームの成長や問題点について語ってくれた。写真:徳原隆元
関東リーグ昇格のための「成長と勝利の同時追求」を掲げた2019年シーズン。実際に、東京都社会人サッカーリーグ1部の戦いは試行錯誤の連続だった。
柴村直弥選手兼コーチが「勝ったからといって、すべてが良かったわけでもないし、負けたからといって全部悪いわけでもない。何が良くて、何がいけなかったかを、毎試合きちんと整理して見極めアプローチしながら階段を上がっていくしかないんです」と言っていたように、理想通りに勝点を積み上げられない中でも、チームは冷静に修正点を確かめ、実際にリーグ戦に打開策を落とし込んでいた。
大型補強により話題性も知名度も増した今シーズン、チームも未経験の期待と重圧を受けていたことを考えれば、冷静さを保つことがいかに難しかったか。この一点を挙げてもチームは新たな経験を積んだといっていい。
例えばシーズン序盤から中盤にかけては、「打倒、南葛SC」に燃える相手チームの意気込みをキックオフから浴び、受け手に回る展開が多かった。それをきちんと把握し、特に試合の入り方に関しては、ウォーミングアップ段階から徐々に集中力を高めていこうとしているように感じられるようになった。選手入場前の選手同士のハイタッチ、キックオフ前の円陣でも「入りな、入り」という声が、見ている側に聞こえてくるほどだった。
個人的にはっきりと変化が感じられたのは、第10節の三菱養和戦だ。この試合では開始から選手たちが厳しく要求し合う声がピッチ上に飛び交った。90分間、ピンと張り詰めた緊張感の中、5-0で快勝することになる。
もし2019年シーズンのベストゲームを挙げるとするならば、このゲームを挙げたい。5-0というスコアもさることながら、あるシーンが印象的だったからだ。厳しく要求する声が行き交うなか、後半、途中交代でピッチに入った近藤大介が5点目のゴールを決める。右SBの位置からオーバーラップして抜け出すと、ロングレンジからの思い切ったループシュートが前に寄せてきていた相手GKの頭を越える。スピードに乗った見事なゴールだった。
印象的だったのはその後だ。近藤がベンチに駆け寄ると控えの選手や福西監督らと歓喜を祝う。ゴールを祝福するみんなの表情が非常に晴れ晴れしていた。様々に重ねてきた試行錯誤が報われたような安堵感も含まれていたような気がする。前年シーズンまでレギュラーだった近藤にしても、スタメンから外される機会が増えた今シーズン、思うところはあったはずだ。その複雑な思いを晴らすような、そしてベンチで同様の思いをしている選手を代表して結果を出したこともあってか、チームの一体感みたいなものが最も感じられたシーンだった。
柴村直弥選手兼コーチが「勝ったからといって、すべてが良かったわけでもないし、負けたからといって全部悪いわけでもない。何が良くて、何がいけなかったかを、毎試合きちんと整理して見極めアプローチしながら階段を上がっていくしかないんです」と言っていたように、理想通りに勝点を積み上げられない中でも、チームは冷静に修正点を確かめ、実際にリーグ戦に打開策を落とし込んでいた。
大型補強により話題性も知名度も増した今シーズン、チームも未経験の期待と重圧を受けていたことを考えれば、冷静さを保つことがいかに難しかったか。この一点を挙げてもチームは新たな経験を積んだといっていい。
例えばシーズン序盤から中盤にかけては、「打倒、南葛SC」に燃える相手チームの意気込みをキックオフから浴び、受け手に回る展開が多かった。それをきちんと把握し、特に試合の入り方に関しては、ウォーミングアップ段階から徐々に集中力を高めていこうとしているように感じられるようになった。選手入場前の選手同士のハイタッチ、キックオフ前の円陣でも「入りな、入り」という声が、見ている側に聞こえてくるほどだった。
個人的にはっきりと変化が感じられたのは、第10節の三菱養和戦だ。この試合では開始から選手たちが厳しく要求し合う声がピッチ上に飛び交った。90分間、ピンと張り詰めた緊張感の中、5-0で快勝することになる。
もし2019年シーズンのベストゲームを挙げるとするならば、このゲームを挙げたい。5-0というスコアもさることながら、あるシーンが印象的だったからだ。厳しく要求する声が行き交うなか、後半、途中交代でピッチに入った近藤大介が5点目のゴールを決める。右SBの位置からオーバーラップして抜け出すと、ロングレンジからの思い切ったループシュートが前に寄せてきていた相手GKの頭を越える。スピードに乗った見事なゴールだった。
印象的だったのはその後だ。近藤がベンチに駆け寄ると控えの選手や福西監督らと歓喜を祝う。ゴールを祝福するみんなの表情が非常に晴れ晴れしていた。様々に重ねてきた試行錯誤が報われたような安堵感も含まれていたような気がする。前年シーズンまでレギュラーだった近藤にしても、スタメンから外される機会が増えた今シーズン、思うところはあったはずだ。その複雑な思いを晴らすような、そしてベンチで同様の思いをしている選手を代表して結果を出したこともあってか、チームの一体感みたいなものが最も感じられたシーンだった。