18年間の現役生活に終止符…背中で語る男・坪井慶介を育んだ元日本代表レジェンドの背中

カテゴリ:Jリーグ

佐藤亮太

2019年11月21日

普段の姿で何かを伝える――当時の井原正巳の姿がいまの坪井慶介に重なる

現在は柏でコーチを務める井原氏。浦和時代は、当時ルーキーの坪井にプロとしてのアドバイスをした。写真:佐藤亮太

画像を見る

 このとき坪井22歳。井原34歳。干支がひと回り違う師弟関係はピッチ内だけでなく、ピッチ外にもあった。当時、井原は自宅を離れ、選手寮・吾亦紅に住み、長谷部誠、田中達也、山岸範宏といった黄金期の主軸となる選手と寝食を共にした。そんななか、井原は寮長のような役割を担っていたという。

「プロとしての日頃の取り組みを若い選手に感じてほしかった。ツボとはポジションが近かったので、より密に話しをした。また当時、寮には活きが良く能力の高い選手たちが入った。(その選手に向け)練習への準備、身体のケア、そしていま何が必要なのかを伝えるために浦和に2年間、在籍させてもらったと思っている」。井原の意思は若手の教科書として、坪井を含めた多くの選手に受け継がれた。

 当時の風景が分かる証言がある。坪井と同期の浦和・平川忠亮コーチ。「井原さんからすれば、僕にはわんぱくなイメージしかないと思う。オフト(監督)から怒られてばかりだったし。イメージとしてツボ(坪井)は真面目。僕はふらふらした感じに見えたと思う(笑)」

 多くを語らず、普段の姿で何かを伝える――当時の井原正巳の姿がいまの坪井慶介に重なる。

「引退試合で場内一周した時、ツボ(坪井)に運転手を務めてもらったが、スピード勝負の選手だからここまで長くやれる選手だとは思わなかった。それができたのは多くのものを犠牲にしながら、ストイックに続けてきた、その証し」

 背中で語った男が、同じく背中で語った男へ送った18年越しの労いの言葉。

 ツボさん、お疲れ様でした。(文中敬称略)

取材・文●佐藤亮太(レッズプレス!!)
【関連記事】
ヴィッセル神戸で現役引退のビジャが母国メディアで語った“最高の思い出”とは? 「キャリアで最も重要だったのは…」
「神の子、スシを食う」「イケメンすぎる」引退したF・トーレスが3か月ぶりに来日! 寿司を楽しむ姿に国内外のファンから大反響
「日本は引退しに来るところではない」「大変な要求をされる」イニエスタが海外メディアにJリーグを語る!
「まさにクラック」「クラブ最高のFWだ」引退発表のビジャ、古巣バレンシアが投稿した衝撃50メートル弾にファン歓喜!
堪え切れず涙も…電撃引退発表のビジャが記者会見で語った、美学と感謝と元日決戦への想い

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト ガンナーズを一大特集!
    5月2日発売
    プレミア制覇なるか!?
    進化の最終フェーズへ
    アーセナル
    最強化計画
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ