こんなみっともない試合をしてしまった
この試合で、ひとつ明確になったのではないだろうか。
国際試合で戦える選手とそうではない選手。さらに代表経験があり、レギュラークラスの選手と海外組がいないなかでチャンスを掴むべき選手の間には、まだ大きな差があると誰もが実感しただろう。
「今回、海外組が抜け、”俺らだけでもやれる”というのを見せないといけない中で、こういう試合をしてしまった。これじゃ底上げにならないですね」原口は残念そうに表情をしかめた。
また原口は、こういう試合にしてしまったことに責任を感じているという。
カタール・ワールドカップ・アジア2次予選のキルギス戦の海外組中心のメンバー編成から今回は初選出の4名に加え、国内組中心にメンバーを入れ替えた。この日のメンバーで代表キャップ数が30を超える選手はGKの川島永嗣(90)、MFの柴崎岳(44)、山口蛍(47)、そして原口(55)と4名しかいなかった。
前半は川島、柴崎、原口の3名がピッチに立っていたが、チームが失点し、混乱している時、チームを落ち着かせ、率先して修正を進めていく役割が経験豊富な選手には求められる。その役割を原口は果たせなかったという。
「僕は試合に出ているひとりなので、(結果について)いい訳するつもりはないです。日本代表の試合ですし、ホームなので、なんとか挽回しようと思いましたけど、こんなみっともない試合をしてしまった。正直、情けないし、責任を感じている。下を向いている選手が多い中で、プレーで引っ張ることができたらよかったけど、それができなかった。自分の力不足を感じています」
サッカーは、ひとりがどれだけ奮闘しても勝てるわけではない。チーム全員で戦わないと最高の結果を得ることは難しいスポーツだ。原口だけが責任を感じるのではなく、この試合の敗戦と内容を試合に出ている選手も控えの選手も全員で共有すべきだろう。
「本当にサッカーってそういうもんで、素晴らしい試合をしようと思ったら、すべてが良くないといけない。(大敗は)まぁこの時期でよかったなと……。本当はよくないですし、ファンに申し訳ない気持ちが強いですけど、もう、こういう試合がないように、危機感を持ってやっていかないといけないと思います」原口は、厳しい表情でそう言った。
まだ、カタール・ワールドカップ・アジア2次予選の途中だが、来年の残りの2次予選の試合、そして最終予選に向けて、この日の敗戦がチームを引き締める苦い良薬になれば良い。
原口にとっては苦い経験になったが、持ち前のギラギラ感はこのおとなしいチームには必要だ。さらに、経験のある選手として、よりリーダーシップを発揮することが求められる。まだやるべきことが多いことを実感し、次のステージに進む際のモチベーションになれば、この日の敗戦は決してムダにはならないはずだ。
取材・文●佐藤俊(スポーツライター)
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