【高校選手権/代表校レポート】京都橘|“子ども”からの脱皮で悲願の日本一を視野に

カテゴリ:高校・ユース・その他

森田将義

2014年12月25日

決して楽ではなかった1年が、選手たちを“大人”に。

スピードと運動量を備えた1年生アタッカーの岩崎。中学時代には日本選抜の経験もある逸材だ。(C) SOCCER DIGEST

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 そして最後のスパイスとして加えたのが、勝利への欲。岩崎が「アップが終わってベンチに戻ると、米澤先生が一番熱かった。先生が試合前のロッカールームで『よっしゃー!行きましょう!』と吠える姿を見て、これが選手権かと学んだ」と振り返ったように、指揮官自らが先頭に立って気持ちを盛り上げるのと同時に、ポゼッション志向が強かった選手たちに「やりたいことは全国に行けばできる。それまでは現実を見て戦おう」とカウンターから勝機を見出すスタイルを徹底した。
 
“負ければ、高校サッカー生活が終わる”という意識も選手を変え、その姿は岩崎が「アップの時から普段の先輩と違って、圧倒された」と口にするほど。ベスト8の東山戦では先制を許したが、選手たちは動じない。前半のうちに同点に追いつくと、後半の2ゴールで逆転勝ち。そのままの勢いで、京都王者の座に登り詰めた。
 
 プレミアリーグ終盤戦の残留を懸けた戦いも、彼らの成長を大きく後押しした。
「プレミアの舞台に後輩を残すのが3年生の責任。先輩たちの頑張りがあって今、お前たちがこの場にいる。そうした積み重ねが伝統になっていく」(米澤監督)
 
 指揮官のその言葉は選手たちの奮闘を呼び、選手権予選による中断明けの首位G大阪ユース戦では勝点3を獲得。残り2試合も、押し込まれながらも我慢する展開を耐え凌ぎ(これまでなら簡単に失点していたが)、2試合連続での引き分けに持ち込んで、残留を掴んだ。
 
 決して楽ではなかった1年が、子どもだった選手を大人にしつつある。米澤監督は「まだまだ子どもやから、こっちがコントロールしないと不安」と笑いつつ、「ボールを持つ時間を増やしたい。現実的に戦うのも大事だけど、ボールを持つからカウンターが生きる側面もある。ふたつの顔をバランス良く出せれば」と最終仕上げに取り組んでいる。
 
 視線の先にあるのは、日本一。過去2年、栄冠に手が届くところまで到達しながら涙を飲んだ舞台を、今度こそ笑顔で終わる舞台に変えられるか期待したい。
 
取材・文:森田将義(サッカーライター)

【高校選手権PHOTO】京都府代表校|京都橘
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