【横浜FC】移籍後3度目の先発起用に一発回答! 中村俊輔が証明した自らの存在価値

カテゴリ:Jリーグ

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2019年10月28日

まさにチームの“へそ”となって

移籍後、先発起用は今節の東京V戦で3度目。過去2試合はいずれもスコアレスドローと勝ち切れていなかったが、ようやく勝利に貢献できた。(C)SOCCER DIGEST

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 俊輔は、中盤のやや深い位置にとどまり、そこまで広範囲に動かず、まさにチームの“へそ”となって、周囲を活かすパスを供給した。本来は、ひとつ高い位置、トップ下で精力的に動き回り、ボールに触る回数を多くして、決定的な仕事に関与するプレーを最大の強みとするが、今は“一歩引いて”、チーム全体を俯瞰するような仕事に徹している。

 自分のエゴを押し通す気はない。あくまでもチーム戦術を最優先に考えて振る舞う。そのなかで、いかに自分の“色”を出すか。自分にしかできないプレーでアピールするか。

 そのひとつが、東京V戦ではゴールという形で表現された。自慢の左足で繰り出した目の覚めるようなミドルシュート。低く抑えられた弾道が、ゴールに向かって一直線に伸びていく。コース、スピードとも申し分なかった。東京VのGK上福元直人もしっかり反応していたが、弾き返すことはできなかった。
 
 今年7月にジュビロ磐田から完全移籍で加入後、今回の東京V戦を迎えるまで、俊輔はリーグ戦で5試合に出場。そのうち、スタメンで出た2試合はいずれも0-0のスコアレスドローに終わっている。負けはしないが、勝てていない。そうした事実に、少なからず思うところはあったのではないだろうか。

 東京V戦でようやく巡ってきた先発のチャンス。もう無駄にはできない。これだけの名手でも重圧を感じていたようだが、三度目の正直で、自らの存在価値を証明してみせた。

 J2リーグは残り4試合。熾烈な昇格レースが続くなかで、日本が誇る稀代のファンタジスタのさらなる活躍を期待したい。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
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