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いまだチーム一の走力を誇る佐藤勇人はなぜ現役を辞めるのか?「2メートルくらいの」恩師、「後悔しかない」キャリアへの想いとは…

カテゴリ:Jリーグ

赤沼圭子

2019年10月17日

佐藤勇の衰えない“走力”の裏にはひとりの指導者との出会いがあった

引退会見には双子の弟、佐藤寿人からの花束贈呈も行なわれた。写真:赤沼圭子

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 チームメイトの誰もが37歳になっても衰えない佐藤勇の走力を称える。それはひとりの指導者との出会いがきっかけだった。

「プロに入った時もそこまで走るということに対して考えたことはなかったですけど、2メートルくらいの大きな人(イビチャ・オシム元監督)が来た時に走ることの重要さをものすごく学びました。その方からはひと言も直接褒められることはなかったですけど、数年前にある本を読んだ時、『佐藤勇人はチームのために死ぬ覚悟を持って常にいた』と書いてありました。自分に走ることの重要性を教えてくれた人が、そういうふうに評価してくれたことがすごく嬉しかったですし、まだ走りたいなと思って、今に至るんですけど。ただ、ピッチの上では走れなくなるかもしれませんけど、ジェフというクラブのためにはピッチ以外でも走れると思いますし、引き続きそこは誰よりも走っていきたいなと思っています」
 
 20年のプロとしてのサッカーキャリアを振り返ると「後悔しかない」と話し、その背景にある思いもチームメイトに伝えたという。
 
「J1にいる時にあと1つ勝てばリーグ優勝できるシーズン(2003年J1リーグ2ndステージと2005年J1リーグ戦)も2回ありましたし、J2になった時もあと1つ勝てばJ1に昇格できるというシーズン(2012年、2014年)もありました。『できたかもしれない』ではなくて『しなくちゃいけない』。『しなくちゃいけない』ということをできなかったことを自分は後悔しているので、残ってくれる選手やクラブスタッフには後悔しないようにしなくてはいけないと話しました」
 いつかユニホームを脱ぐ時までには寿人と一緒にプレーがしたい。その願いがかなった今季だが、そこにもやはり後悔はある。
 
「寿人という存在は双子であり、家族であり、親友であり、ライバルであり、12歳から一緒にこのクラブでやって、プロのキャリアもここでスタートしました。最後に一緒にジェフでプレーできることが決まった時は、寿人本人にも伝えましたけど、正直、複雑でした。それは自分と寿人の関係だけで、このクラブのためになるのか。結果が出ていないシーズンが続いていて、もっと若い世代の選手が必要なんじゃないか。ただ、彼が入ってくれてからのトレーニングでの態度や取り組みに関しては、やはり彼の人間としての素晴らしさ、プロとしての素晴らしさを感じることができました。クラブのために100パーセントでトレーニングから励んでくれて、すごく感謝しています。でも、寿人と一緒にプレーした最後のシーズンがこのような結果になっていることを、とても悔しく思っています」
 
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