今季の前線における最適解と言える組み合わせ
山形だけでなく、それぞれのチームで求められたプレーをしながら監督の要求に応えた上で、それを超えるプレーを見せている。
「守備なら前からプレスを掛けてボールを奪って、攻撃ならハーフレーンが空いて
いたら走る。チームでやることをやった上で、自分の得意なところ、間で受けてターンするプレーを出していく」(山岸)
守備で多くの役割を求められる山形の前線でも時間をかけずにフィットできたのは、その適応力の高さ故だろう。
「(大槻)周平は人を使ってポストしたり、汚れ役になったり逃げる動きでスペースを空けたりできる。隊長(坂元達裕)も浮いたポジションでドリブルしたり、人を使って入るのが上手くなってきた。ただ、祐也は元々そういうのが得意だった」(木山監督)
大槻周平、坂元達裕、そして山岸祐也。チームのストロングである守備力をベースにしながら、味方を活かしてプレーしつつ、自身の良さを出せる選手が前線に3枚揃った。この3人は今季の前線における最適解と言える組み合わせだろう。
この3人がピッチに立った柏戦以降、得点パターンに中央からのワンタッチプレーが加わり、サイドアタックやセットプレーと言った外角からの攻撃だけでなく、新たな攻撃のバリエーションとなっている。
34節・甲府戦では、外へ外へと意識が向きすぎて中と外で揺さぶりきれず、終盤に
は攻め急ぎすぎて背後を取られて失点したが、そういった攻撃の使い分けや攻守のバランスを保ちながら戦えるようになれば、本来の山形の守備力を維持しながらもさらに得点力アップが期待できるだろう。
引き分けでも勝点2を失って置いていかれる昇格争い終盤戦で、勝点3を奪うための攻撃力の底上げは大きな戦力アップだ。
「強化部が頑張ってチームに合う選手を見つけてきてくれた」と木山監督が語るように、山岸を連れてきた今夏の補強が、今実りの秋を迎えている。
取材・文●嶋 守生(フリーライター)