かつて広島も堅守を拠り所にしていたが…
遡ること約1年前、昨季の広島は城福浩監督を招聘。一昨年の残留争いから巻き返しを図るべく、まず守備を整備した。攻撃はパトリック(現G大阪)を軸にしたカウンターで堅守速攻がハマり、前半戦は首位を快走。しかし、パトリックに厳しいマークがつき攻撃が停滞すると、負担が大きくなった守備にも綻びが目立ち、終盤戦には6連敗という大失速をした。
そこから見えてきたのは、堅守を拠り所にする限界だった。広島も今の名古屋のように受けに回って、当時のシステムである4-4-2の守備ブロックは前半戦、“ほとんど”崩れなかった。ただ、やはり特にセットプレーなどでわずかな隙は生まれるもので、ずっと守勢に回るのは厳しいことが後半戦に明らかになっている。
そんな広島を見ていたこともあって、守勢に回る名古屋には不安感がある。実際に失点シーンはCKで野上結貴をフリーにさせてしまっているし、ゴール場面を除けば、1トップのジョーが孤立している時間もかなり長かった。守備的になるのも、前線の個に頼るのも、いずれ限界が来るのではないか、と感じる。
そこから見えてきたのは、堅守を拠り所にする限界だった。広島も今の名古屋のように受けに回って、当時のシステムである4-4-2の守備ブロックは前半戦、“ほとんど”崩れなかった。ただ、やはり特にセットプレーなどでわずかな隙は生まれるもので、ずっと守勢に回るのは厳しいことが後半戦に明らかになっている。
そんな広島を見ていたこともあって、守勢に回る名古屋には不安感がある。実際に失点シーンはCKで野上結貴をフリーにさせてしまっているし、ゴール場面を除けば、1トップのジョーが孤立している時間もかなり長かった。守備的になるのも、前線の個に頼るのも、いずれ限界が来るのではないか、と感じる。
もっとも、昨季の広島も前半戦まで(=約17試合)は、堅守速攻が効いていた。守備を整備するのは、短期間であれば効果てきめんである。「残留」という唯一の目標にだけ目を向けるならば、残り8試合を託されたフィッカデンティ監督にとっても、守備的戦術は得策なのかもしれない。
例に挙げた広島の現在に触れておくと、名古屋戦のボール支配率59%からも分かるように、今季から本格的に3-4-2-1システムによるポゼッションサッカーに変え、上位を維持する安定した戦いぶりを見せている。選手や監督から聞こえてくるのは、攻撃の時間が長くなった好影響で、「ストレスなく守備ができる」「守備時にパワーが残っている」といった手応えだ。
攻守のバランスを追求するのが難しいことは、百も承知である。だが、あまりにも守備的に振り切りすぎてしまうと、かつての広島のように“いつか”落とし穴にハマる可能性があることは、肝に銘じておくべきかもしれない。
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
例に挙げた広島の現在に触れておくと、名古屋戦のボール支配率59%からも分かるように、今季から本格的に3-4-2-1システムによるポゼッションサッカーに変え、上位を維持する安定した戦いぶりを見せている。選手や監督から聞こえてくるのは、攻撃の時間が長くなった好影響で、「ストレスなく守備ができる」「守備時にパワーが残っている」といった手応えだ。
攻守のバランスを追求するのが難しいことは、百も承知である。だが、あまりにも守備的に振り切りすぎてしまうと、かつての広島のように“いつか”落とし穴にハマる可能性があることは、肝に銘じておくべきかもしれない。
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)