スタジアムは常に大勢のサポーターで埋め尽くされる
フースバルゴット。直訳すれば「サッカーの神」だ。スタメン選手から控え選手まですべてにフースバルゴットと叫ぶ。ウニオンファンにとってここはまさに神々が戦う劇場。そんなファンの後押しを受けたチームはいつでも全力でプレーをしてみせる。
先のドルトムント戦でも、その様子は顕著だった。監督のウルス・フィッシャーは試合後に胸を張った。
「勝ち点を手にしたいならば、90分間、本当にハードな試合になることを覚悟し、限界を超えるまで戦わなければならない。今日我々はまさにその言葉通り全力で90分間プレーした。情熱的にプレーすることは我々にとって必要最低条件ともいえる。そしてそれが最終的に決定的なものになる。我々は泥臭く戦い続けた」
この日、ドルトムントから2ゴールをあげたFWマリウス・ビュルターは、サポーターの後押しがどれほどの力となるかを熱っぽく語り、改めて感謝を口にした。
「みんながどれほど一丸となって立ち向かったか。ただただ素晴らしいよ。ファンはいつも僕らのことをすごく支えてくれているけど、今日は本当にすべてが凄かった」
先のドルトムント戦でも、その様子は顕著だった。監督のウルス・フィッシャーは試合後に胸を張った。
「勝ち点を手にしたいならば、90分間、本当にハードな試合になることを覚悟し、限界を超えるまで戦わなければならない。今日我々はまさにその言葉通り全力で90分間プレーした。情熱的にプレーすることは我々にとって必要最低条件ともいえる。そしてそれが最終的に決定的なものになる。我々は泥臭く戦い続けた」
この日、ドルトムントから2ゴールをあげたFWマリウス・ビュルターは、サポーターの後押しがどれほどの力となるかを熱っぽく語り、改めて感謝を口にした。
「みんながどれほど一丸となって立ち向かったか。ただただ素晴らしいよ。ファンはいつも僕らのことをすごく支えてくれているけど、今日は本当にすべてが凄かった」
元ドイツ代表キャプテンのローター・マテウスも、スタジアムの作り出す雰囲気を絶賛する。
「選手としてキャリアをスタートした時代を思い出すよ。ファンとチームが作り出す家族的な雰囲気はとても印象的だ。ここに来ると、いい意味で時間が少し止まっている感覚が生まれるね。もう使われてはいない昔からのスタジアム用具や広告版などが、そのまま残っている。クラブにおける根っこの部分を大事にし続けているんだ、ここは」
ウニオンは長い間、トップクラブとは違うアンダードックの立ち位置を享受しなければならない立場にいた。だが、時間をかけた結びつきが、新たな力を生み出し続けてきた。誰もウニオンがブンデスリーガに昇格できるなど夢にも思っていなかった。
だが、一致団結したファンだけはいつでも信じ続けていた。俺たちをなめるなよ。俺たちの力を侮るなよと。そしていまや、ドイツ中が尊敬のまなざしを送るほどのクラブに成長している。
ウニオン・ベルリンは、ブンデスリーガの新しい冒険に飛び出した。選手層では他クラブと比較できるものはないかもしれない。だが、どんな相手に対しても、どんな状況になっても、どれだけ泥まみれになろうとも、つねに前を向いて、がむしゃらに戦い続ける熱さがある。
このスタジアムでは、どんなアウェーチームもその激しさのまえに苦戦を強いられる。転んでもただは起きないウニオンというクラブの存在が、サッカーの素晴らしさを改めて教えてくれているのだ。
筆者プロフィール/中野吉之伴(なかのきちのすけ)
ドイツサッカー協会公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に「サッカー年代別トレーニングの教科書」「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」。WEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)を運営中。