マルディーニ――クラブ随一のレジェンドはファンとの関係も…。
一方、インテルの最大のライバル、ミランのOBにも同じように、クラブから遠ざけられている人物がいる。しかもこちらは、ユース時代から在籍し、25年間のプロ生活を全て赤と黒のユニホームに捧げてきた、正真正銘のレジェンドである。
パオロ・マルディーニは、ミランだけでなく、カルチョの偉人だ。セリエA歴代最多出場数(647)を誇り、ミランはセリエAを7度、チャンピオンズ・リーグ(カップ)を5度も制し、世界一にも3度輝いた。イタリア代表でも出場数126は歴代3位、6度のメジャー大会出場を果たした。
タイトルの数だけでなく、ミランの60年代の黄金期をキャプテンとして支えた偉大なるチェーザレの息子であり、マルディーニ・ブランドを受け継ぐサラブレッドとして、息子パオロは常にミランでは特別な存在であり続けた。
生涯ミランとともにあり続ける――それは既定路線のはずだったが、ユニホームを脱いだマルディーニは今、ミランから距離を置いたところに存在している。それはひとえに、副会長アドリアーノ・ガッリアーニとの確執が原因とされている。
それを物語るエピソードとして、レオナルドが監督だった時にスポーツディレクター(チームや選手を管理する役割)としてマルディーニの起用を求めたのを、ガッリアーニが「そんな時代遅れの人物は必要ない」と突っぱねた(マッシミリアーノ・アッレグリ監督時代にも同様のやりとりがあったという)。
決して独裁的でも、出しゃばりでもないが、あまりに偉大な存在ということで、その発言力の大きさがフロント陣には危険なものと映るのか――。
このような経緯もあり、またミランの近年の凋落ぶりが著しいこともあって、最近ではマルディーニの古巣への舌鋒は鋭さを増す一方だった。
「長く紡いできたミランの伝統を伝える者がいなくなり、クラブには長期的な展望もない。私が大事にしてきたミランがぶち壊された心境だ」
もっとも、現在ガッリアーニ副会長とともにクラブを切り盛りするシルビオ・ベルルスコーニ・オーナーの娘バルバラ(経営責任者)とは良好な関係にあり、昨年末、ガッリアーニ副会長が辞意を表明した際には、マルディーニのフロント入りが確実視されていた。
マルディーニは、「名前だけの役職はやりたくない。また父の苦労を知っているので監督業にも興味はない」と語っているが、前述のスポーツディレクターという役割には「私の経験や実績は、この役職で十分に活かせると思う。ミランの歴史と伝統を引き継いでいける人間がフロントに入るべき」と、大いに乗り気だ。
「他のビッグクラブを見れば、バイエルンではカール=ハインツ・ルムメニゲやウリ・ヘーネス、レアル・マドリーではエミリオ・ブトラゲーニョやホルヘ・ヴァルダーノといったレジェンドが役員を務めているではないか」
自らの有用性を熱く語るマルディーニ。この意見はもっともと言えるが、マルディーニは前述のゼンガとは違い、ミラニスタとの関係があまり芳しくないという問題も抱えている。
マルディーニの現役最後のホームゲームとなった2008-09シーズンのローマ戦では、感動的なラストステージとなるはずが、スタンドに掲げられた「あなたは自分を裕福にした者に対する敬意が足りない」と書かれた横断幕によって、両者の不仲は決定的なものとなった。
マルディーニが前年の契約延長の際、待遇でなかなか折り合わなかったことがきっかけとされているが、この横断幕に対して「自分が彼らのような人間のひとりでないことを誇りに思う」と返したことが、ミラニスタをさらに刺激したのは間違いない。
とはいえ、こういった「反マルディーニ」は、全体から見ればごく少数派。多くは、このクラブのレジェンド中のレジェンドに好意的であり、尊敬し、古巣復帰を歓迎している。
最近は、ミランに対する発言が減ってきたというマルディーニ。再びクラブの顔として世にお目見えする日はいつ来るのだろうか。
パオロ・マルディーニは、ミランだけでなく、カルチョの偉人だ。セリエA歴代最多出場数(647)を誇り、ミランはセリエAを7度、チャンピオンズ・リーグ(カップ)を5度も制し、世界一にも3度輝いた。イタリア代表でも出場数126は歴代3位、6度のメジャー大会出場を果たした。
タイトルの数だけでなく、ミランの60年代の黄金期をキャプテンとして支えた偉大なるチェーザレの息子であり、マルディーニ・ブランドを受け継ぐサラブレッドとして、息子パオロは常にミランでは特別な存在であり続けた。
生涯ミランとともにあり続ける――それは既定路線のはずだったが、ユニホームを脱いだマルディーニは今、ミランから距離を置いたところに存在している。それはひとえに、副会長アドリアーノ・ガッリアーニとの確執が原因とされている。
それを物語るエピソードとして、レオナルドが監督だった時にスポーツディレクター(チームや選手を管理する役割)としてマルディーニの起用を求めたのを、ガッリアーニが「そんな時代遅れの人物は必要ない」と突っぱねた(マッシミリアーノ・アッレグリ監督時代にも同様のやりとりがあったという)。
決して独裁的でも、出しゃばりでもないが、あまりに偉大な存在ということで、その発言力の大きさがフロント陣には危険なものと映るのか――。
このような経緯もあり、またミランの近年の凋落ぶりが著しいこともあって、最近ではマルディーニの古巣への舌鋒は鋭さを増す一方だった。
「長く紡いできたミランの伝統を伝える者がいなくなり、クラブには長期的な展望もない。私が大事にしてきたミランがぶち壊された心境だ」
もっとも、現在ガッリアーニ副会長とともにクラブを切り盛りするシルビオ・ベルルスコーニ・オーナーの娘バルバラ(経営責任者)とは良好な関係にあり、昨年末、ガッリアーニ副会長が辞意を表明した際には、マルディーニのフロント入りが確実視されていた。
マルディーニは、「名前だけの役職はやりたくない。また父の苦労を知っているので監督業にも興味はない」と語っているが、前述のスポーツディレクターという役割には「私の経験や実績は、この役職で十分に活かせると思う。ミランの歴史と伝統を引き継いでいける人間がフロントに入るべき」と、大いに乗り気だ。
「他のビッグクラブを見れば、バイエルンではカール=ハインツ・ルムメニゲやウリ・ヘーネス、レアル・マドリーではエミリオ・ブトラゲーニョやホルヘ・ヴァルダーノといったレジェンドが役員を務めているではないか」
自らの有用性を熱く語るマルディーニ。この意見はもっともと言えるが、マルディーニは前述のゼンガとは違い、ミラニスタとの関係があまり芳しくないという問題も抱えている。
マルディーニの現役最後のホームゲームとなった2008-09シーズンのローマ戦では、感動的なラストステージとなるはずが、スタンドに掲げられた「あなたは自分を裕福にした者に対する敬意が足りない」と書かれた横断幕によって、両者の不仲は決定的なものとなった。
マルディーニが前年の契約延長の際、待遇でなかなか折り合わなかったことがきっかけとされているが、この横断幕に対して「自分が彼らのような人間のひとりでないことを誇りに思う」と返したことが、ミラニスタをさらに刺激したのは間違いない。
とはいえ、こういった「反マルディーニ」は、全体から見ればごく少数派。多くは、このクラブのレジェンド中のレジェンドに好意的であり、尊敬し、古巣復帰を歓迎している。
最近は、ミランに対する発言が減ってきたというマルディーニ。再びクラブの顔として世にお目見えする日はいつ来るのだろうか。