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【移籍市場の舞台裏】マッザーリからマンチーニへ、インテル監督交代をスクープしたディ・マルツィオ記者が一部始終を語る

カテゴリ:ワールド

ジャンルカ・ディ・マルツィオ

2014年11月16日

そして午後9時頃、「正しい」電話に当たった。

マンチーニのインテル監督就任をスクープしたディ・マルツィオ記者が、スリリングなその舞台裏を語った。 (C) Getty Images

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 その夜はほとんど眠れなかった。そして目が覚めた時には大汗をかいていた。もちろん、私がクビになったわけではなかったのだが……。私は不安と闘いながら、ひとつのスクープを世に出そうとしていた。それだけだ。
 
 私の携帯に「目を開けて待っていろ」という意味深なメッセージが届いたのは、11月13日木曜日午後5時のことだった。私の両目はしっかりと見開かれていたが、まだどこに焦点を合わせていいのかわからなかった。とにかく狂ったように各方面に連絡をして、なにか動きがないかを探り続けた。
 
 そして午後9時頃、「正しい」電話に当たった。ある友人から、私が待っていた情報がもたらされたのだ。
「インテルがマンチーニと話し合いをしている。合意は近い。すべてうまく進めば土曜日の練習を指揮しているはずだ」
 
 マッザーリは? その時点ではまだ何も知らなかったはずだ。疑いは持っていたかもしれないが。なんの「警報」も耳にすることなく、金曜午後のトレーニングについて頭を巡らせながら眠りにつこうとしていただろう。
 
 私は情報源を全面的に信じていたが、だからといって裏も取らずに不確実なスクープを打つのは好きではない。他のジャーナリストがこの手の情報を手にしたら、なにも考えず、監督交代に向けて交渉中、というニュースを大スクープとして流したかもしれない。しかし私は、交渉が最後で決裂する可能性も考えた。そして、本来まだ知るべきではないニュースをTVを通じて知らされることになるマッザーリのことも。
 
 私は翌朝まで待とうと決断した。一旦流したニュースが「オウンゴール」になった時のリスクは、あまりに大きかったからだ。私はアンフェアな手法で情報を手に入れたわけではないが、それでも「嵌められた」格好になることに変わりはない。
 
 ベッドから出てシャワーで汗を流した後、朝食を取ったが、ほとんどなんの味もしなかった。コーヒーを飲んで心を落ち着けた。
 
 そして午前11時頃、マンチーニが契約の詳細を詰めて正式に合意し、マッザーリにもクラブから解任が伝えられたという情報が入ってきた。そこでやっと私は「スカイ・イタリア」の24時間スポーツニュース番組「スカイスポーツ24」の編集局に連絡を取り、すぐに電話をスタジオにつないでくれるように伝えた。素早く他のメディアをチェックして、まだ誰もこのニュースを伝えていないことを確認する。私は幸運だった。
 
 私は逸る心を抑えつつ、通りを歩きながら、スタジオにつながった電話に向かってそれまでに掴んだ情報を話し続けた。話し終わって、重かった肩の荷がすっかり下りた。前夜から私にのしかかって眠らせてくれなかった重荷だ。これまで私がモノにした多くのスクープの情報源と、この情報をもたらしてくれた友人にも、私は一生感謝し続けるだろう。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
ジャンルカ・ディ・マルツィオとは――
 イタリアのスポーツ専門局『SkySport』を舞台に活躍するジャンルカ・ディ・マルツィオは、移籍専門記者という新たなジャンルを独力で切り開いた草分けにして、他をまったく寄せ付けないトップランナーです。
 
 イタリア国内ではすでに数年前から超メジャーな存在でしたが、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラ監督のバイエルン入りという大スクープをものにして、一躍ヨーロッパ中でその名を知られるようになりました。その後も、ウィリアン(当時シャフタール・ドネツク)がトッテナムからチェルシーに寝返った顛末など、イタリアにいながらワールドワイドな移籍情報をいくつもスクープしています。
 
 セリエAから下部リーグまで各クラブの会長やスポーツディレクターはもちろん、代理人からスカウトまで膨大な関係者と緊密なネットワークを持ち(iPhoneのアドレス帳には3000人以上のコンタクトが入っています)、他の記者には絶対入手できないディープな情報をキャッチ。素晴らしいのは、しっかり裏が取れるまでは決して情報を出さないところです。
 
 ご存じの通り、世界中を飛び交っている移籍関連ニュースの大半は、誰かの願望や思惑に基づくただの噂でありそれ以上ではありませんが、ディ・マルツィオが発信するニュースは、すべて彼自身のプライドがかかったガチネタであり、ハズレはほぼ皆無と言っても過言ではありません。移籍ネタに関しては、どんなにありそうな話でもディ・マルツィオが書くまでは嘘か本当かわからない、どんなにあり得ない話でもディ・マルツィオが書いたら本当、というのが、もはやこの業界の常識になっているくらいです。
 
 ツイッターのフォロワーは全世界で約30万人。日本では13年7月から『ワールドサッカーダイジェスト』誌に連載コラムを寄稿しています。この連載を休載した時には、日本のフォロワーからいくつも問い合わせのリプライが飛んで来たほどの人気です。
 
 そんなディ・マルツィオのオフィシャルサイト『gianlucadimarzio.com』から、『サッカーダイジェストWeb』は移籍関連を中心とする最新ニュースを毎日厳選してお伝えしています。サプライズはあっても「ガセ」はありませんから、安心してお読みください。
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