良い意味で、ワガママに、本能の赴くままに
強い使命感が、土居をがんじがらめにしたのだろう。本来は攻撃的な選手で、ゴールに直結するプレーが最大の持ち味のはずなのに、そのストロングポイントを押し殺してでも、「チームのために走って、みんながやりやすいようにって。当時は、自分でもよくそう言っていましたよ」と、自らを納得させるように努めていた。
そうした献身的な姿勢が、チームにとってどれだけ大切かは理解している。だが、去年の終盤になって、心がザワついた。
「これ楽しいのか、いや楽しくないなって思ったんですよ。マジ楽しくないと思った。本当に楽しくないと思った。俺、こういう選手じゃないのに。いつからこういう選手になったんだろうって」
他の誰かと同じような選手にはなりたくない。プロになってから、ずっとそう思ってきた。「その選手にしか出せない雰囲気や能力で試合を動かせる存在」が理想だ。
本来の自分を取り戻す――そうしないと、「自分のためにも、チームのためにもならない。だから、まずは自分優先でもいいんじゃないかと思った」。
「楽しむこと」が今季のテーマだと土居は言った。だが、後になって「実はそれ、表向きの言い方なんですよ」とにんまりと笑う。「表現的には、ふざけたい、かな」。
改めて記すまでもないが、文字通りの意味ではない。攻撃を仕掛ける際、ひと手間加えてみる。無駄にワンクッションを置いたり、足技を入れてアクセントを付ける。「自分も楽しいし、見ている人にも楽しんでもらえるはず」。そんなプレーがチームを活性化させ、勢いをもたらし、効果的だと土居は考えている。
「あれ、今のワンプレーで急に鹿島が良くなったよね、とか。それがしたいし、今のところは上手くいっている感じです」
良い意味で、ワガママに、本能の赴くままに。チームの約束事は当然、守りながらも、リミッターを外して、遊び心を取り戻した土居は、溌剌と、さらに躍動するに違いない。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
※本記事は、サッカーダイジェスト8月8日号(7月25日発売)掲載の記事から一部抜粋・加筆修正したもの。
そうした献身的な姿勢が、チームにとってどれだけ大切かは理解している。だが、去年の終盤になって、心がザワついた。
「これ楽しいのか、いや楽しくないなって思ったんですよ。マジ楽しくないと思った。本当に楽しくないと思った。俺、こういう選手じゃないのに。いつからこういう選手になったんだろうって」
他の誰かと同じような選手にはなりたくない。プロになってから、ずっとそう思ってきた。「その選手にしか出せない雰囲気や能力で試合を動かせる存在」が理想だ。
本来の自分を取り戻す――そうしないと、「自分のためにも、チームのためにもならない。だから、まずは自分優先でもいいんじゃないかと思った」。
「楽しむこと」が今季のテーマだと土居は言った。だが、後になって「実はそれ、表向きの言い方なんですよ」とにんまりと笑う。「表現的には、ふざけたい、かな」。
改めて記すまでもないが、文字通りの意味ではない。攻撃を仕掛ける際、ひと手間加えてみる。無駄にワンクッションを置いたり、足技を入れてアクセントを付ける。「自分も楽しいし、見ている人にも楽しんでもらえるはず」。そんなプレーがチームを活性化させ、勢いをもたらし、効果的だと土居は考えている。
「あれ、今のワンプレーで急に鹿島が良くなったよね、とか。それがしたいし、今のところは上手くいっている感じです」
良い意味で、ワガママに、本能の赴くままに。チームの約束事は当然、守りながらも、リミッターを外して、遊び心を取り戻した土居は、溌剌と、さらに躍動するに違いない。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
※本記事は、サッカーダイジェスト8月8日号(7月25日発売)掲載の記事から一部抜粋・加筆修正したもの。