【鹿島】「マジ楽しくない」だから今季は“ふざける”。プロ9年目の土居聖真の真実

カテゴリ:Jリーグ

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2019年07月26日

良い意味で、ワガママに、本能の赴くままに

遊び心を取り戻した結果、躍動感に満ちたプレーで攻撃を活性化。見ている人にも楽しんでもらいたいと願っている。写真:滝川敏之

画像を見る

 強い使命感が、土居をがんじがらめにしたのだろう。本来は攻撃的な選手で、ゴールに直結するプレーが最大の持ち味のはずなのに、そのストロングポイントを押し殺してでも、「チームのために走って、みんながやりやすいようにって。当時は、自分でもよくそう言っていましたよ」と、自らを納得させるように努めていた。
 
 そうした献身的な姿勢が、チームにとってどれだけ大切かは理解している。だが、去年の終盤になって、心がザワついた。
 
「これ楽しいのか、いや楽しくないなって思ったんですよ。マジ楽しくないと思った。本当に楽しくないと思った。俺、こういう選手じゃないのに。いつからこういう選手になったんだろうって」
 
 他の誰かと同じような選手にはなりたくない。プロになってから、ずっとそう思ってきた。「その選手にしか出せない雰囲気や能力で試合を動かせる存在」が理想だ。
 
 本来の自分を取り戻す――そうしないと、「自分のためにも、チームのためにもならない。だから、まずは自分優先でもいいんじゃないかと思った」。
 
「楽しむこと」が今季のテーマだと土居は言った。だが、後になって「実はそれ、表向きの言い方なんですよ」とにんまりと笑う。「表現的には、ふざけたい、かな」。
 
 改めて記すまでもないが、文字通りの意味ではない。攻撃を仕掛ける際、ひと手間加えてみる。無駄にワンクッションを置いたり、足技を入れてアクセントを付ける。「自分も楽しいし、見ている人にも楽しんでもらえるはず」。そんなプレーがチームを活性化させ、勢いをもたらし、効果的だと土居は考えている。
 
「あれ、今のワンプレーで急に鹿島が良くなったよね、とか。それがしたいし、今のところは上手くいっている感じです」
 
 良い意味で、ワガママに、本能の赴くままに。チームの約束事は当然、守りながらも、リミッターを外して、遊び心を取り戻した土居は、溌剌と、さらに躍動するに違いない。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
 
※本記事は、サッカーダイジェスト8月8日号(7月25日発売)掲載の記事から一部抜粋・加筆修正したもの。
 
【関連記事】
【鹿島】ゴールの予感は「全然なかった」それでも土居聖真が2得点できた理由とは?
「ずっと『入れ、入れ、入れ』と」ACL8強に導く2得点を土居聖真が振り返る【鹿島】
鹿島が柏からMF小泉慶を獲得! 新潟時代の戦友、レオ・シルバとのコンビ復活もあるか?
鹿島・鈴木優磨がベルギー1部STVVへ完全移籍で合意!「このクラブは僕の心の中にあり続けます」
鹿島入団内定の尚志高FW、染野唯月が決意表明! スカウト担当部長が明かす獲得の理由は?

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ