サッカーを始めたきっかけは、楽しかったからだった。その楽しさを感じさせてくれる場所に、もう一度戻りたかった。
「原点回帰ではないですけど、楽しくサッカーがしたい、と思って。愛媛での最後のシーズンは正直、サッカーを全然楽しめなかったんです。本当に“仕事”って感じで。ベンチには入っていても試合には出ていなくて、状態がよくてもなかなか使ってもらえない。チームが勝てなくて苦しんでいる時、状態はいいのに使ってもらえない。それが一番もどかしかったというか。サッカーが楽しくなくなり、練習に行くのも面倒くさくなってしまった自分がいました。でも、南葛SCは自分を必要としてくれているし、もう一度サッカー選手として自分を見つめられるんじゃないか、と感じたんです」
『キャプテン翼』はアニメの再放送を録画して見ていたことを覚えている。中学生になってからは、週刊少年ジャンプで始まった『キャプテン翼 ワールドユース編』に夢中になった。サンターナやナトゥレーザといったブラジル選手のファンタジックなプレー、中国の肖俊光の必殺技「反動蹴速迅砲」に夢中になった。サッカーを楽しんでいた当時に見ていた『キャプテン翼』、そのマンガと縁の深いチームでもう一度原点に戻る――。安田晃大はプロ選手としての契約で南葛SC入りを決めた。
「最初、高橋先生に会った時“でかっ”って思って(笑)。テレビで見ていた印象では、もっと小柄な印象だったんです。でもがっちりした体格で大きくて。それが一番ビックリしましたね(笑)。先生にはJリーグにいてもなかなか会うことが叶わない。それが先生に会えて、ましては同じチームにいれる。感動的ですよね。南葛SCに来たのは高橋先生がいてJリーグを目指しているから。もし南葛SCと同じカテゴリで他のチームから話があっても、絶対断ってますから」