香川真司 無傷の4連勝でCLベスト16へ 意義深いガラタサライ戦の勝利

カテゴリ:ワールド

田嶋コウスケ

2014年11月05日

メディアを黙らせる意味でも大きな1勝。

チームにリズムをもたらそうと奮闘した香川。ドルトムントでCLの決勝トーナメントを戦うのは初めてだ。 (C) Getty Images

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 ところが、「効率よく点が取れたと思う」と香川が言ったように、後半に入るとセットプレーとカウンターでゴールを重ねた。
 
 56分の追加点は香川が起点となったが、その前にひと悶着あった。53分だ。CKを蹴ろうと香川が右コーナー付近に近づくと、ゴール裏に陣取るガラタサライのサポーターが花火を次々とピッチに投げ入れる。両手を広げて、プレーできないとアピールする香川。3分間の中断を経て再開したが、「すごく怖かったですね。CKを蹴りたくない、って言ったんですけど(笑)」というほどだった。
 
 しかし、「パスの質が良かった」と香川が自画自賛した柔らかいCKが起点となり、最後はソクラティス・パパスタソプーロスがネットを揺らした。「(CKを蹴りたくなかったが)それが点につながったので、逆にしてやったりと」と、香川もほくそ笑んだ。さらに2点を加えたドルトムントは、4-1でガラタサライを退けた。
 
 チームとしては、この1勝を上昇気流に乗せる転機にしたい。順調にリードを広げたことで、週末のボルシアMG戦に向けて香川(63分)、ロイス(71分)、スベン・ベンダー(85分)の主力を途中交代で休ませることができた。
 
 この試合前には、香川の胸ぐらをつかむユルゲン・クロップ監督の姿を、大衆紙の『ビルト』が報じていた。5連敗のチームに流れる不穏な空気を象徴する一幕として大きく伝えられたが、実情は異なるようだ。この件について、香川は次のように説明する。
 
「そもそも、バイエルン戦の前の写真です。戦術練習のなかで、どういう守備をすればいいのかと(説明を受けていたところ)。ああいう形で、うまく写真を撮られてしまいました。ただ、(チームの成績が奮わない)こういう時期だからこそ出た報道だと思っています」
 
 周囲の視線も厳しさを増すなかでの貴重な勝利。横槍を入れるようなメディアを黙らせる意味でも、快勝という結果を出した意義は大きいと言えるだろう。
 
 もちろん、香川個人に目を向けても、CLの決勝トーナメントに進出したことは意味深い。振り返れば、挑戦の場をセレッソ大阪からドルトムントに移した2010年から、国内リーグの連覇に貢献。文字通りブンデスリーガの頂点に立った。その一方で、CLに参戦した11-12シーズンはグループステージで敗退し(グループ最下位)、香川自身も爪痕を残せなかった。ところが、マンチェスター・ユナイテッドに移籍した翌シーズン、ドルトムントは欧州最高峰の舞台でファイナルに進出。その古巣に舞い戻ったいま、さらなるステップアップ、キャリアアップを遂げるためには、このCLで頂点に近づけるどうかが鍵を握っている。
 
 決勝トーナメントは来年2月から。怪我から復帰して間もないロイスやイルカイ・ギュンドアンも、3か月後にはコンディションを取り戻しているだろう。現在離脱中のヤクブ・ブワシュチコフスキも戦列に戻ってくる。
 
 今とは違う姿になっているはずのドルトムントで、香川は欧州の強豪相手にいかに戦えるか。日本の「ナンバー10」がさらに成長を遂げるには、2月からの決勝トーナメントは大きな意味を持ってくる。
 
取材・文:田嶋康輔
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