岩渕には「小さなイニエスタ」と高評価、VARは議論が白熱
これに対してガリ女史は、「VARにも二重制裁にも反対だが、この程度のハンド判定はいくらでもある。それより日本がチャンスを決め切れなかったことが敗因だ」と反論した。
ここで断固トーンを上げたのが『L’EQUIPE』紙のスター記者、ヴァンサン・デュリュックだ。
「VAR導入以来、PKが急増している。審判が、怪しくてもとりあえず笛を吹いてしまおう、どうせVARが判定してくれるから、という心理傾向になっているからだ。フットボールのエモーションもVARに殺されている」と重要な議論も提示しながら、「勝利を盗まれた」日本を擁護した。このお題の視聴者投票の結果は、62%を獲得したリウーの勝利だった。
ここで断固トーンを上げたのが『L’EQUIPE』紙のスター記者、ヴァンサン・デュリュックだ。
「VAR導入以来、PKが急増している。審判が、怪しくてもとりあえず笛を吹いてしまおう、どうせVARが判定してくれるから、という心理傾向になっているからだ。フットボールのエモーションもVARに殺されている」と重要な議論も提示しながら、「勝利を盗まれた」日本を擁護した。このお題の視聴者投票の結果は、62%を獲得したリウーの勝利だった。
ところが次のお題も日本。「今大会で最も美しい試合に立ち会ったと思うか」だった。
ここではデュリュック記者が、「イワブチはマニフィックだった」と強調。番組責任者で司会のオリヴィエ・メナールも、岩渕に「プティット・イニエスタ(小さな女イニエスタ)」の異名を授けた。
この日は日付が変わる午前零時まで、とにかく日本づくし。「この試合で最も美しかったゴールは?」の問いには、ほぼ全員が「日本のゴール」と答え、オランダの先制ヒールゴールを完全に圧倒した。
現役キャリアに終止符を打ったばかりのエティエンヌ・ディドは、「ラストパスが決定的だった」と語り、司会のメナールは日本の前線3人(岩渕、長谷川、菅澤)を、「トリダン・ド・プティ・リュタン」(小妖精の三つ又の矛)と命名した。この小妖精トリオには、2年後も注目が集まりそうだ。
そして「この試合のMVPは?」のお題では、「イワブチとハセガワ」「イワブチ」…と全員がなでしこから選出。それぞれが選んだMVP採点でも、複数の「8」がズラリと並んだ。
悔しい敗北を喫したものの、ついになでしこたちがフランスの厳しい専門家たちを魅了した。
ただ、それだけに忘れてはならない点がある。「日本はいいプレーをしていながら、自分で勝手にゴールをしくじりすぎた。日本はリアリストじゃなかった」というガリ女史の指摘だ。世界の頂点に返り咲くためには、この攻撃のリアリズムがどうしても必要になってくるだろう。
文●結城麻里
text by Marie YUUKI