強いチームはなぜ最後に勝ち切れるのか?
ところが、この日の日体大柏は、奇跡的な力を秘めていた。途中出場のFW長崎陸(3年)が前線でロングパスのターゲットとして活躍。後半終了間際に投入されたばかりの相手選手からPKを誘発し、自ら決めて同点。敗戦寸前から可能性をつないだ。そして、延長戦では、ラストプレーとなったロングスローに競り勝った長崎が、味方のシュートに反応して左足で豪快に決勝点を叩き込んだ。
市立船橋、流経大柏の二強を撃破という難題をクリアし、33年ぶり2度目の全国出場。選手、スタッフはもちろん、保護者や応援団の喜びようは、尋常ではなかった。選手の名を呼ぶ声は、嗚咽交じりのものも多かった。終盤の2得点で勝利の立役者となった長崎は「一番感謝しているのは、応援団。試合に出られずに悔しい気持ちの選手も1回戦から全力で応援してくれたし、サッカー部じゃない人も応援に来てくれた」と感謝を示した。
感動的な勝利の裏側には、若き指揮官が何度も苦汁をなめさせられた経験が生きていた。酒井監督と日体大柏は、今回のような劇的な勝利を、これまでは見せつけられる側にいた。
日体大柏は、体育大学の付属高で運動能力の高い選手が多く揃う土壌がある。2015年に柏レイソルと提携関係を結んで指導者の派遣、レイソル育成組織からの選手獲得が進むと、レイソル仕込みのパスワークも導入して進化。市立船橋、流経大柏が出場していない関東大会予選では、直近5年で優勝2回、準優勝1回の好成績を残している。
しかし、2017年のインターハイ、高校選手権は、ともに県大会準決勝で流経大柏に惜敗(0-1とPK戦)。昨季もインターハイ予選の準決勝で市立船橋に0-2で敗れ、二強の壁には苦しんできた。
なぜ二強を破れないのか、強いチームはなぜ最後に勝ち切れるのか、自分のチームと何が違うのか。酒井監督は、事あるごとに、その違いに関心を示した。指導歴の浅さと未熟さを認め、素直に課題と向き合いながら、感じ取っていたひとつの答えがあった。今季は、4月の関東大会予選で初戦敗退。酒井監督は、指導スタッフと選手、学年の違う選手間に亀裂を感じていたという。勝利を勝ち取ることでチームがまとまることは、日本代表まで上り詰めた現役時代の経験から知っている。だから、この大会は内容より結果にフォーカスした。大一番で勝負強く勝つために必要なものは、二強から学び得たものだった。
市立船橋、流経大柏の二強を撃破という難題をクリアし、33年ぶり2度目の全国出場。選手、スタッフはもちろん、保護者や応援団の喜びようは、尋常ではなかった。選手の名を呼ぶ声は、嗚咽交じりのものも多かった。終盤の2得点で勝利の立役者となった長崎は「一番感謝しているのは、応援団。試合に出られずに悔しい気持ちの選手も1回戦から全力で応援してくれたし、サッカー部じゃない人も応援に来てくれた」と感謝を示した。
感動的な勝利の裏側には、若き指揮官が何度も苦汁をなめさせられた経験が生きていた。酒井監督と日体大柏は、今回のような劇的な勝利を、これまでは見せつけられる側にいた。
日体大柏は、体育大学の付属高で運動能力の高い選手が多く揃う土壌がある。2015年に柏レイソルと提携関係を結んで指導者の派遣、レイソル育成組織からの選手獲得が進むと、レイソル仕込みのパスワークも導入して進化。市立船橋、流経大柏が出場していない関東大会予選では、直近5年で優勝2回、準優勝1回の好成績を残している。
しかし、2017年のインターハイ、高校選手権は、ともに県大会準決勝で流経大柏に惜敗(0-1とPK戦)。昨季もインターハイ予選の準決勝で市立船橋に0-2で敗れ、二強の壁には苦しんできた。
なぜ二強を破れないのか、強いチームはなぜ最後に勝ち切れるのか、自分のチームと何が違うのか。酒井監督は、事あるごとに、その違いに関心を示した。指導歴の浅さと未熟さを認め、素直に課題と向き合いながら、感じ取っていたひとつの答えがあった。今季は、4月の関東大会予選で初戦敗退。酒井監督は、指導スタッフと選手、学年の違う選手間に亀裂を感じていたという。勝利を勝ち取ることでチームがまとまることは、日本代表まで上り詰めた現役時代の経験から知っている。だから、この大会は内容より結果にフォーカスした。大一番で勝負強く勝つために必要なものは、二強から学び得たものだった。