森保監督も前線4人のうち久保を最後まで残すしかなかった

チリ戦は、柴崎(7番)、中島(10番)をオーバーエイジとして、その他は五輪世代の選手たちで構成された。結果は内容以上にスコアでは離されたが、五輪へ向けての大きな財産となったはずだ。(C) Getty Images
さらに代表初先発の久保建英は、後半に入るとFC東京での立場と同じく、完全に攻撃のタクトを託された。どうしてもボールを引き出すために下がって受けるケースが目立ったが、前を向けば2~3人に追走されてもドリブルにブレがないので相手もまったく飛び込めない。左サイドの中島翔哉が無理な状況でもボールキープに固執し、何度かチリのカウンターを食っていたのに比べ、状況判断の速さ、的確さの違いが浮き彫りになり、森保一監督も前線4人のうちひとりだけ最後まで残すしかなかった。
すでに経験豊富で、守備に止まらず攻撃でもアグレッシブな姿勢を貫いた冨安健洋、代表デビューながら落ち着いたパフォーマンスに終始し、責任を問われるゴールを許していないGK大迫敬介も、改めて五輪の主軸になる価値を示した。
すでに経験豊富で、守備に止まらず攻撃でもアグレッシブな姿勢を貫いた冨安健洋、代表デビューながら落ち着いたパフォーマンスに終始し、責任を問われるゴールを許していないGK大迫敬介も、改めて五輪の主軸になる価値を示した。
一方で森保監督は、5バックで後傾したままになるのを嫌ったのか、4-2-3-1(守備時は4-4-2)を選択したが、さすがにサイドバックの経験不足が目立った。また2列目も右サイドは前田大然でスタートし、未知のポジションとしては予想以上に健闘したが、選手間の距離を縮めてポゼッションを高めるには、途中交代で出場した安部や三好康児ら別の選択をした方が効果的だったかもしれない。
国際的なトップレベルでの経験に裏打ちされた巧みな試合運びにより、スコアは内容以上に広がった。だが何ひとつ有利な要素がない最悪の条件を考えれば、必ずしも手にした収穫は少なくなかった。
文●加部 究(スポーツライター)
【日本代表PHOTO】日本0-4チリ|コパ・アメリカ初戦は南米王者に4失点の大敗。再三の決定機を決め切れず…
国際的なトップレベルでの経験に裏打ちされた巧みな試合運びにより、スコアは内容以上に広がった。だが何ひとつ有利な要素がない最悪の条件を考えれば、必ずしも手にした収穫は少なくなかった。
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