吉兆が見えたマンU、堂々たるチェルシー プレミアの大一番を読み解く

カテゴリ:メガクラブ

田嶋コウスケ

2014年10月27日

ユナイテッドはようやく歯車が噛み合い始めた。

首位を走るチェルシーのモウリーニョ(左)に、ユナイテッドのファン・ハール(右)が挑む構図となった師弟対決。 (C) Getty Images

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 開幕から不安定な戦いを繰り返してきたユナイテッドだが、チェルシーとのこの大一番で見えたのは吉兆だ。歯車がようやく噛み合い出したようだ。
 
 ディ・マリアとヤヌザイの両翼を中心に、重視したのは縦に速い攻撃だ。これまでは個人技頼みの「オールスターチーム」のような戦い方しかできなかったが、接触プレーに強いフェライニやパスワークに長けるファン・マヌエル・マタが効果的に絡み、チームアタックには一体感があった。ファン・ハールのサッカーが少しずつ浸透してきた証左と言えだろう。
 
 もっとも、ディフェンスには依然として改善の余地を残す。セットプレーやカウンターに対する守備に難があり、失点以外にも何度か危うい場面があった。脆さが否めなかったのは、クリス・スモーリングとマルコス・ロホのCBコンビだ。
 
 一方のチェルシーは、首位らしい堂々たる戦いぶりだった。配給役のセスクがパスを散らし、2列目のエデン・アザールやオスカールがドリブルで違いを作り出し、CFのドログバが仕留める──。本来のエース、ジエゴ・コスタが怪我で欠場したこの試合ではフィニッシュに難はあったものの、攻撃の形はすでに完成されている。
 
 守っては、中盤の底でマティッチが身体を張ったマーキングで存在感を示し、クルトワと共に堅守を支える。覇権奪還に向けて死角はないように映る。
 
 試合後のファン・ハール監督は強気だった。
「選手たちには『勝てた試合だ』と伝えた。チャンスを多く作ったが、ゴールに結び付けられなかった」
 と、引き分けという結果を嘆いた。
 
 一方のモウリーニョ監督も不満顔だった。
「望んでいた結果ではない。前半は良いプレーができたが、後半はそれを上回るファンタスティックな内容だった。1ポイントでは満足できない」
 
 ともに勝てる試合を落としたという思いが強かったようだ。
 
 ファン・ハールの薫陶を受けたモウリーニョは言う。
「ルイスは、バルセロナのようなビッグクラブで働くチャンスを与えてくれた人。若い時の自分にとって極めて重要な存在だった」
 
 そんな愛弟子にファン・ハールは目を細め、敬意を払う。
「ジョゼの才能は、当時から分かっていた。彼が率いるチームはすべて組織力に秀でている。私より素晴らしい監督かもしれない。世界最高峰の監督だろう」
 
 互いに認め合う師弟が次に相まみえるのは、4月の33節。6か月後の直接対決では、ともにどんなチームを作り上げているか──。興味は尽きない。
 
取材・文:田嶋康輔
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