そんな中村は今、“ひと味違う”。メキシコ戦の前にはこんなことを言っていた。
 
「まずはしっかりとチームの守備。そこからボールを取ってから自分の長所、ハードワークという土台がある上で、自分の長所を出す。ドリブルとシュートを出していければいいと思います」
 
　あくまで大前提はフォア・ザ・チーム。それを教わった場所はガンバ大阪で、「貪欲にゴールを狙うのはもちろんですが、味方を使うのはガンバで教わったこと。チームが勝てるプレーを確実に選ぶことが現代サッカーでは大事」としている。
 
　なかでも宮本恒靖監督の指導は大きく、「レヴィー（・クルピ前）監督からは得点感覚を買われていたと思いますけど、それ以外のところはプロの平均以下。走れないし、戦えないし、球際も戦えない。オフの動きが足りないところも、宮本監督に指摘されて、とにかくそこを徹底しました。オフ・ザ・ボールと守備、それをやるようにしたからこそ、ここに呼ばれている」とＵ－20ワールドカップのメンバーに選ばれ、所属クラブの現指揮官への感謝を語っていた。

　ドリブルやシュートが得意な選手はよくいるものだが、献身性や判断力も備わった今の中村は前述の通り“ひと味違う”。
 
　だからこそ、中村には期待にとどまらず、Ｕ－20ワールドカップでの大化けの予感がする。宮本監督、さらにはＵ－23チームの森下仁志監督の下、ガンバでコツコツトレーニングを積み重ねてきた。Ｕ－20ワールドカップでもジリジリと出場時間を伸ばしている。あとは……
 
「自分の力を信じてやってこい」
 
　ポーランドに出国前、宮本監督にかけられたこの言葉通り、出番を得ればイタリア戦で思い切って暴れてもらいたい。
 
取材・文●志水麗鑑（サッカーダイジェスト編集部）

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