心優しいサポーターの愛に甘えるな。神戸は「日本のバルサ」になる覚悟を示せるか?

カテゴリ:Jリーグ

吉田治良

2019年05月01日

ようやくアクセルを踏み込むのは、ハーフタイムを挟んで鞭を入れ直してからだ

故障明けのビジャで調子の上がらなかったビジャを、90分間プレーさせる必要があったのか。写真:徳原隆元

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 ピッチ上の選手たちが戦っていないとは言わない。
 川崎戦のキックオフ前、魂を注入するようにチームメイトの背中を叩いて気合を入れる新キャプテン、イニエスタの姿があった。開始10分、前から果敢にプレッシャーを掛けていた古橋亨梧が、相手の左SB馬渡和彰を削ってさっそく主審から注意を受ける。その2分後には、イニエスタ、ビジャ、古橋、西大伍と複数人が絡んだ崩しから、最後は山口蛍の低弾道ミドルが川崎ゴールを襲うが、一連の攻撃のきっかけとなったのは、自陣にまで戻ってボールを奪取した小川慶治朗の激しいスライディングタックルだった。
 
 しかし、こうして良い形で試合に入っても、たったひとつの失点でたちどころに攻守のバランスを崩してしまうのが、現在の神戸なのだ。そして、その失点には多くの場合、ミスが絡んでいる。6節・松本山雅FC戦はGK前川黛也のパンチングミスで先制ゴールを、7節・サンフレッチェ広島戦ではダンクレーのバックパスミスから同点ゴールを、8節・浦和レッズ戦では芝生に足を滑らせた大﨑玲央のボールロストから先制のPKを奪われた。

 川崎戦の1失点目は、防ぎようのない馬渡の素晴らしい直接FKだったが、一方でショートカウンターから最後は小林悠に決められた37分の2失点目は、イニエスタからのパスをコントロールし損ねた山口の軽いプレーがその端緒となっている。
 
 ただ、ミスの多さ以上に問題は、主導権を握りながらも何度となく相手のカウンターを食らううちに腰が引け、チーム全体のコンパクトネスが失われてしまう悪い癖だろう。川崎戦後、選手たちも反省の言葉を口にしている。
 
「11人が繋がってプレスに行かないと、ああやって間延びして間を突かれる。もっともっとコンパクトにならなければいけない」(古橋)
 
「全体的な距離感を含めて、もう少し上手く出来たらよかった。川崎のように良い距離感でプレーできれば、ボールを奪われた後もすぐに奪い返せるようになると思う」(山口)
 
 松本戦が13分、浦和戦が10分、川崎戦が15分──。単純なミスを減らし、こうして早い時間帯に失点しないことももちろん大事だが、問われるのは先制を許した後にどう振る舞うか、ではないだろうか。前節の浦和戦もそうだったが、失点後は相手のカウンターを警戒しすぎてラインを押し上げられず、無難な各駅停車のパスをつなぐばかり。ようやくアクセルを踏み込むのは、ハーフタイムを挟んで鞭を入れ直してからだ。浦和戦、川崎戦ともに神戸が放ったシュートは計12本。その内訳は前半が3本、後半が9本とピタリと合致する。
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