求められる「90分間のマネジメント」

コロンビア戦とはスタメンを総入れ替えしたボリビア戦、内容については、満足からは程遠いものだったが、交代出場メンバーの連係と個の技術によって3試合ぶりの勝利を飾っている。 (C) Getty Images
日本は相手の流れを切ることができなかった。例えば、トップの選手がキープして繋ぐ、あるいはファウルを誘う。それだけで、チームは一息つける。ボールの収まりどころがなかった。結果、守備陣は追い込まれていたのだ。
失点シーンは、まさにその帰結だった。
プレスを回避できず、昌子源がクリアのようなボールを蹴って、相手が自陣で収め、再攻撃を受ける。慌てた柴崎岳がポジションを捨て、捕まえに行く。ダイレクトで裏にボールを出され、インサイドで決定的なシーンを作られた。必然的にシュートブロックに行った冨安健洋の手に、ボールが当たった。PK献上……。
失点シーンは、まさにその帰結だった。
プレスを回避できず、昌子源がクリアのようなボールを蹴って、相手が自陣で収め、再攻撃を受ける。慌てた柴崎岳がポジションを捨て、捕まえに行く。ダイレクトで裏にボールを出され、インサイドで決定的なシーンを作られた。必然的にシュートブロックに行った冨安健洋の手に、ボールが当たった。PK献上……。
終盤は、再びプレーのリズムを取り戻した。香川真司の投入も大きかったか。中島のシュートがバーを直撃するなど、同点に追いついても不思議ではなかった。
しかし、「コロンビアがリトリートして守り切っただけ」とも言える。
「世界のトップを相手に、無失点は難しい。得点できない試合ではなかっただけに(悔しさが残る)。最少失点に抑えつつ、1点を奪えるクオリティーを持って戦えるか」
森保監督は、そう総括した。試合の流れを掴めるか――。レベルの高い試合では、90分間のマネジメントが求められる。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。