シチュエーションを限定すれば、鎌田は大迫を彷彿とさせるクオリティーを見せる
もうひとり、鎌田大地にも非常に良い印象を受けた。
「人生初」と語る1トップで起用されたが、自分がやるべきプレーを賢く見つけていた。このチームにおける1トップの役割は、2列目を生かすこと。味方が縦パスを入れるタイミングで、サッと隙間に顔を出すセンスは、大迫勇也を彷彿とさせる。そこからのフリック、サイドへの展開など、テクニックは折り紙付きだ。特に68分、南野拓実が投入されてからの鎌田はすばらしく、そこに大迫がいるような気さえした。
大迫と鎌田は、特徴の半分が重なる。もちろん、鎌田は大迫のようにDFを背負い、柔道のごとく相手の力を利用して入れ替わるなど、球際の芸当は真似できない。身体も張らない。しかし、ボリビア戦のように相手が守備を固め、日本が押し上げて人数をかける試合など、シチュエーションを限定すれば、鎌田は大迫を彷彿とさせるクオリティーを見せる。これは大きな手応えだ。
「人生初」と語る1トップで起用されたが、自分がやるべきプレーを賢く見つけていた。このチームにおける1トップの役割は、2列目を生かすこと。味方が縦パスを入れるタイミングで、サッと隙間に顔を出すセンスは、大迫勇也を彷彿とさせる。そこからのフリック、サイドへの展開など、テクニックは折り紙付きだ。特に68分、南野拓実が投入されてからの鎌田はすばらしく、そこに大迫がいるような気さえした。
大迫と鎌田は、特徴の半分が重なる。もちろん、鎌田は大迫のようにDFを背負い、柔道のごとく相手の力を利用して入れ替わるなど、球際の芸当は真似できない。身体も張らない。しかし、ボリビア戦のように相手が守備を固め、日本が押し上げて人数をかける試合など、シチュエーションを限定すれば、鎌田は大迫を彷彿とさせるクオリティーを見せる。これは大きな手応えだ。
本来の鎌田はトップ下の選手で、日本代表では1トップで起用された。逆に大迫の場合は、日本代表では絶対的な1トップで、ブンデスリーガではトップ下で起用される。ポジションに惑わされず、世界の広さから見れば、実はふたりは同じグループかもしれない。味方との連係、対戦相手の特徴次第では、同じようなプレーをする。
何より、そういうプレーを見つけて即時実践した、鎌田のインテリジェンスがすばらしい。この収穫は今後、W杯アジア予選などで効いてくる。
その一方、ちょっと残念だったのは、鎌田がベルギーで磨いている、クロスに対してゴール前に入っていく得点力が見られなかったこと。シント=トロイデンでは1トップなどのFWがいて、その後ろから飄々とゴール前に入り、ワンタッチゴールを決めているが、今回の日本代表では鎌田自身が1トップで起用されたため、自分の前でつぶれ役になるFWがいない。鎌田の得点力は、楽しみにしていた部分でもあったので、それが影を潜めたのは、やや残念だ。
日本が押し込む展開で南野拓実とのコンビを試すか、あるいは鈴木武蔵と組むことで、その辺りの得点力も出てくるかもしれない。
ボリビア戦は収穫の少ない試合だったのだろうか。私はそうは思わない。放物線の上昇を描く前は、だいたいこんなものだ。
取材・文●清水英斗(サッカーライター)