サンペールは"神戸のブスケッツ"になれるのか?「15分間」で見せた危うさと可能性

カテゴリ:Jリーグ

吉田治良

2019年03月21日

サンペール投入後の神戸にはプレービジョンの相違があった

バルセロナのトップチームでの出場機会は少なかったものの、その技術はやはり一級品だ。(C)Getty Images

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 サンペールの投入後、この日はキックオフ直後から鋭かった清水の出足が一瞬鈍ったのは、きっと疲労のせいだけではないはずだ。リージョ監督の狙い通り、神戸のポゼッションは安定し、中盤のコントロールを取り戻している。
 
 ただし、15分のプレータイムでは、サンペールが“神戸のブスケッツ”になれるとの確証を得るまでには至らなかった。
 
 今後、どこまでフィジカルコンディションを上げ、実戦感覚を研ぎ澄ましていけるかがその大前提となるが、加えて不可欠なのがチームメイトとの強い信頼関係の構築であり、プレービジョンの共有であろう。
 
 88分に許した同点ゴールは、初瀬亮のクリアミスが直接的な原因だが、きっかけはハーフウェーライン付近での安易なボールロストだった。その時、サンペールの前方には山口と三田、少なくともふたつのパスコースがあった。しかし、彼が選択したのは3人のDFに囲まれていたイニエスタ。さしものイニエスタもボールをキープできず、そこからショートカウンターを食らっている。中盤でユニットを組むふたりとの信頼関係の希薄さが見て取れたシーンだった。

 また守備の局面で、サンペールと山口&三田との位置関係が逆転する場面も何度となくあった。前線から一枚削り、代わりにアンカー(サンペール)を置いた選手交代を、「残り時間を引いて守ってしのごうというメッセージ」として受け止めたか、「中盤で主導権を握り、相手をいなしながらゲームをクローズさせる一手」と捉えたか。つまりはプレービジョンの相違がそこにはあった。
 
 あくまでもバルサ化を目指すのであれば、たとえ押され気味の展開であっても後者の思考が求められる。「耐えて逃げ切る」後ろ向きの概念は、バルサの哲学にはないからだ。そうしたメンタル面と戦術面のコントロールも、本家のブスケッツと同様、本来はアンカーのサンペールに与えられた役割のはずだが、加入間もない彼にいきなりそこまで要求するのは酷だったのかもしれない。
 
 それでも、焦る必要はない。ここからじっくりと周囲との連係を深め、どんなシチュエーションでも同じ絵を描けるよう、イメージの共有を進めていけばいい。
 
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