エムボマ、アラウージョを超えてゆけ! 絶好調のアデミウソン、その美しき技巧と献身

カテゴリ:Jリーグ

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2019年03月18日

「フロンターレ戦は、本当に頭の痛いゲームだった」

初来日は2015年2月、21歳のとき。横浜は1年で退団し、G大阪に活躍の場を移した。写真:田中研治

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 J1開幕から4試合、目を引くのは圧倒的な活動量だ。

 2トップの一角に入っても左サイドに配備されても、効果的なチェイシングを絶えず続け、マイボールになるや速さ、巧さ、強さの三拍子が揃った局面打開でショートカウンターの急先鋒となる。とんでもない持久力を発揮しているのである。

 アディショナルタイムの劇的弾で川崎フロンターレに勝利した第4節でも、アデミウソンの「美しき技巧と献身」が際立った。左サイドに入って地道に守備で汗を流しつつ、攻撃の突破口を見出せないチームをなんとか牽引せんと、単独の仕掛けを繰り返した。自身はゲームをこう振り返る。

「パス回しが巧いフロンターレが相手なのだから、ディフェンスに時間を割くのは当たり前のこと。本当に頭の痛いゲームだったし、あれだけ動き回って守備をしたのは、いままでないくらいかなと思う。とくに真ん中ではなく、左サイドでの起用だからね。普段より2倍は走らないといけない。守備では藤春(廣輝)を助けて、いざ攻撃となればヤット(遠藤保仁)やシュウ(倉田秋)が助けてくれる。やりにくさはまるでなかったよ」

 
 記者席から見ていると、守→攻の切り替えのところで、やや無謀な仕掛けが多いように感じた。攻め急ぎ、人垣に突っ込んではすぐに囲まれ、チャンスの芽を潰していたからだ。だが、アデミウソンにはアデミウソンなりの計算があった。

「自陣に相手が入ってきてから守備をする、しかもそれが長い時間になると、攻撃の手数を出せなくなってしまう。だから僕はあえて、カウンターで素早く仕掛けた。たしかにそのうち2回や3回は、ドリブルで一気に加速するのではなく、違う選択肢を模索するべきだったのかもしれない。でも、僕は必要だと思ってやった。強引にでもボールを運んでチームにひと息つかせたい、ただその一心だったんだ」

 なんたる優等生だろうか。その不屈のファイティングスピリットは最終盤まで衰えず、中央でタメを作って決勝点の基点となった。サイド起用でも与えられた責務を全うし、かつ、持ち味を存分に発揮する。「今年のアデはヤバイ」が確信に変わった瞬間だ。

 エムボマやアラウージョたちは、超人的な決定力を誇示してチームを高みへと導いた。一方で最新の9番は、よりチームプレーのなかで圧倒的な個を打ち出し、なにより図抜けた献身性で周囲のストロングポイントまでも引き出している。

 J1では過去4シーズン、8得点(33試合)、9得点(29試合)、4得点(22試合)、5得点(17試合)と二桁得点はなし得ていない。今季は第4節を終えて3得点とハイペースで、ゴールラッシュの気配さえ漂う。
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