J2から北九州、山形、千葉がベスト8へ!! 天皇杯における「番狂わせ」の理由とその歴史

カテゴリ:Jリーグ

サッカーダイジェストWeb編集部

2014年09月11日

Jリーグ発足とともに注目されるようになった“番狂わせ”。

2012年元旦に歓喜の咆哮を上げたのは、当時J2のFC東京だった。今季、ベスト8に残ったJ2勢がどこまで大物食いを続けられるか興味深い。 (C) Getty Images

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 さて、今回で94回目を迎えた、日本サッカーにおいては最古の大会である天皇杯。サッカーの全国リーグが発足する前から存在したコンペティションであり、元旦の決勝戦は、サッカーが不人気スポーツだった時代、リーグ戦では閑古鳥が鳴いていた状況でも、かなりの集客を誇る特別なイベントだった。
 
 その歴史のなかでは、黎明期から予想外の結果が出る試合はいくつもあったのだが、番狂わせというものがより注目されるようになったのは、プロクラブとアマチュアという明確なカテゴリーの違いが生まれてからである。
 
 1992年、翌年にJリーグ開幕を控えるなかで行なわれた第72回大会で、参加チームのエントリーリストに、初めてプロクラブの名前が含まれていた。そしてその年に早くも、JFL(当時の2部リーグ)のフジタ(翌年よりベルマーレ平塚・現湘南ベルマーレ)が1回戦で名古屋グランパスエイト(当時)、準々決勝で東日本JR古河(後のジェフ市原・現ジェフ千葉)を下すという番狂わせを演じてみせた。
 
 驚きを伴う番狂わせということでは、94年の1回戦で強豪・鹿島アントラーズがJFLの東京ガス(現FC東京)に0-2で敗れたのが最初と言えるかもしれない。
 
 そして95年には、翌年にJリーグへ昇格することとなる福岡ブルックス(現アビスパ福岡)が2回戦で横浜マリノス(当時)を2-0で破るという番狂わせが起きた。ヴィッセル神戸も清水エスパルス、ジュビロ磐田を続けて撃破するなど、この年はJFL勢の生きの良さが印象に残ったが、それよりも横浜の早期敗退がサッカーファンにとっては意外と映った。
 
 というのも、横浜は前身の日産自動車時代からこの大会には非常に強く、80年代には4度の優勝、90年代に入ってからも3年連続の決勝進出を果たして91、92年と連覇を飾るなど、抜群の好成績を残していた。ところが、94年に準決勝でJFLのセレッソ大阪に敗れると、ここから98年まで5年連続で下のカテゴリーのチームに敗北を喫したのである。現在では、天皇杯で最も足元をすくわれやすいJチームとなっており、前述の通り、今年も北九州の軍門に下っている。
 
 番狂わせのなかでも、最も見る者を唖然とさせたもののひとつとして、2001年の3回戦、名古屋がJFL(3部リーグ)の佐川急便に4発を食らって完封されたゲームが挙げられる。さほどメンバーを落として臨んだわけでもないのに、内容的にも完敗だった。

 95、99年の2度、天皇杯を制している名古屋だが、その一方でこの大会では、試合後に選手が思わず「恥ずかしい」「ファンに申し訳ない」とコメントせざるをえないような、無様な内容を晒した試合は少なくない。ベスト8に残っている今年は、良い姿を見せ続けられるだろうか。
 
 最後に、Jチームが参加し始めた92年から昨年までの、主な番狂わせを記した。この歴史は、大会が続く限り、途絶えることはないだろう。
 
◇1992年
◎1回戦
名古屋 1-3 フジタ
◎準々決勝
フジタ 1-0 東日本JR古河
 
◇1994年
◎1回戦
鹿島 0-2 東京ガス
磐田 1-3 大塚製薬
川崎製鉄 2-1 清水

◎2回戦
C大阪 1-0 ヴェルディ川崎
準々決勝
浦和 0-1 C大阪
◎準決勝
横浜M 1-2 C大阪
 
◇1995年
◎1回戦
神戸 2-0 清水
ブランメル仙台 2-1 市原 
 
◎2回戦
横浜M 0-1 福岡
磐田 0-2 神戸

 
◇1996年
◎1回戦
福岡大 2(5PK4)2 新潟
◎2回戦
甲府 1-2 国士舘大
市原 0(4PK5)0 富士通川崎
磐田 1-2 福島FC
名古屋 0-1 コスモ四日市
横浜M 1(延長)2 大塚FC

 
◇1997年
◎2回戦
ブランメル仙台 0-1 順天堂大
大分FC  1(3PK5)1 桃山学院大

◎3回戦
名古屋 1-3 東京ガス
◎4回戦
横浜M 1-2 東京ガス
 
◇1998年
◎3回戦
C大阪 4-6 甲府
横浜M 0-1 ブランメル仙台
G大阪 1-2 モンテディオ山形
市原 0-2 本田技研

 
◇2000年
◎2回戦
横浜FC 1-2 愛知学院大
 
◇2001年
◎2回戦
湘南 0(3PK4)0 奈良産業大
◎3回戦
名古屋 0-4 佐川急便
 
◇2004年
◎4回戦
群馬FCホリコシ 1-0 柏
ザスパ草津 2-1 C大阪

◎5回戦
横浜FM 1(延長)2 ザスパ草津
 
◇2005年
◎3回戦
札幌 0-2 佐川急便東京SC
湘南 1(延長)2 アローズ北陸

 
◇2006年
◎3回戦
神戸 2-4 YKK AP
 
◇2007年
◎3回戦
札幌 1(9PK10)1 TDK SC
ベガルタ仙台 1(延長)2 順天堂大
京都 0-1 明治大

◎4回戦
浦和 0-2 愛媛FC
柏 2(延長)3 Honda FC

◎5回戦
Honda FC 2-0 名古屋
 
◇2008年
◎3回戦
湘南 1(4PK5)1 松本山雅
徳島 0(延長)1 国士舘大

 
◇2009年
◎2回戦
水戸 2-3 福岡大
C大阪 1-2 福島ユナイテッド
松本山雅 2-0 浦和
東京V 0-1 ホンダロック
徳島 1-3 鹿屋体育大
湘南 0-1 明治大

◎3回戦
山形 0-3 明治大
◎4回戦
岐阜 1-0 千葉
 
◇2010年
◎2回戦
ベガルタ仙台 0(延長)1 ソニー仙台
東京V 0-1 町田

 
◇2011年
◎2回戦
大宮 1(3PK5)1 福岡大
◎3回戦
新潟 0-1 松本山雅
G大阪 2(延長)3 水戸
FC東京 2(延長)1 神戸
広島 0-1 愛媛
鹿島 0-1 京都

◎準々決勝
FC東京 1-0 浦和
◎準決勝
横浜FM  2(延長)4 京都
FC東京 1-0 C大阪

 
◇2012年
◎2回戦
FC東京 0-1 横河武蔵野FC
神戸 1-2 SAGAWA SHIGA FC
広島 1-2 FC今治

◎3回戦
仙台 1(延長)2 熊本
新潟 0-1 福島ユナイテッド

 
◇2013年
◎2回戦
名古屋 0-2 AC長野パルセイロ
◎3回戦
浦和 2-3 山形
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