躍動した南野と沈黙した北川――ふたりの出来を分けた”決定的な差"とは|アジア杯

カテゴリ:日本代表

清水英斗

2019年01月15日

パスの正解は受け手が決めるもの。しかし、北川はその正解を明示しない

初先発の北川は緊張もあったのか、周囲とのコンビネーションに課題を残した。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 35分のシーンは、冨安健洋がボールを持ち、ドリブルで運んだ。そして北川を見ながら裏のスペースを狙うが、躊躇して一度止まり、すぐに軸足を踏み直して裏へ蹴った。受ける北川のほうも、裏か足下か迷い、一度止まり、また裏へ行ったが、結局タイミングでノッキングしており、パスは通らなかった。
 
 41分のシーンは、前述した相手右サイドバックとセンターバックの間が空き、飛び出せるポジションで北川が浮いていた。このように流れの中で、北川と南野のポジションが入れ替わっていることもある。ボールを持った冨安は、すぐにロングパスのモーションに入ったが、北川は反応せず。結局、ショートパスに切り替えた。
 
 もちろん、この程度のズレは、試合の中では山ほど発生する。だが、私が違和感を覚えたのは、結局、北川がどこでボールが欲しいのか、意志がわからないことだった。
 
 南野の場合、パスの出し手がどう考えようと関係ない。彼はボールをもらうと決めたら、ジャストのタイミングで、相手のオフサイドラインを横切ってしまう。ある意味、わかりやすい。出し手はそれに合わせる努力をすればいい。だが正直、北川の意志は、試合を見直した今でも、よくわからない。
 

 決定的だったのは、47分だ。バイタルエリアで南野がボールを持ち、前を向いた。北川は斜めに飛び出そうと、一歩を踏み出す。それを見た南野はスペースにパスを出したが、北川は反応せず。一歩を踏み出した後、その場に止まっていた。
 
 どうしたいねん!と言わんばかりの不満を、南野はジェスチャーで表す。しかし、北川は南野に背中を向けたまま、何もコミュニケーションを取らず。特に切り替えの早さが要求される場面ではなく、実際、北川がカウンタープレスに行った様子もない。
 
 結局、あのとき北川は、裏と見せかけて足下に欲しかったのか、それとも単純に北川自身の判断ミスで、次も同じところにパスを出してほしいのか。わからない。彼がどう考えているのか、わからない。そして、それはプレーする日本代表の味方にとっても、わからなかったようだ。
 
 パスの正解は受け手が決めるもの。しかし、北川はその正解を明示しないため、ボールに絡めない状況が続く。
 
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