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【2019年のJ注目株】「私が死んでも帰って来るな」実業団バスケMVPの亡き母は山形CB栗山直樹をいかにして育てたのか?

カテゴリ:Jリーグ

頼野亜唯子

2019年01月09日

「母からは『私が死んでも絶対に帰って来るな』と言われていました」

昨季はシーズンを通して安定した働きを見せた栗山。指揮官はさらなるレベルアップを求める。写真:田中研治

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 筋金入りのアスリートならではの厳しい子育ては、栗山が大学に進学して家を離れるまで続いたが、その後は「人が変わったように優しくなった」そうだ。

 3年前から闘病していたという春美さんの病状を、栗山が聞かされたのは去年のことだった。そして9月、台風によって延期になっていたアウェーでの26節・カマタマーレ讃岐戦(9/19)を終えた夜、訃報が届いた。栗山は静岡の実家へ帰って春美さんに一目会うと、すぐに山形に戻る。中4日の金沢戦を戦った後、葬儀のために1日だけ練習を休んだ。

「母からは『私が死んでも絶対に帰って来るな』と言われていました。全部終わってから帰って来い、と」

 プロの選手であることを何よりも大切にしてほしいから、帰って来るのはシーズン後にという春美さんの遺志に少しだけ背いて、別れの場に立ち会った。

 栗山に尋ねた。お母さんからもらったものは何ですか?
「いろいろありすぎて、一言では言えないですが、一生懸命やること、スポーツに対する姿勢は、嫌というほど叩き込まれました」

 チームの結果にこだわるのも、小さな頃から当たり前のこととして心に沁みついたものかもしれない。栗山は昨季3ゴールを記録しているが、うち2ゴールは春美さんが亡くなった後のものだ。しかし、2試合とも引き分けていることが歯がゆい。
 
「結局、母が亡くなってからの2か月で、天皇杯・川崎戦を入れても2勝しかできなかった。ふがいない、母に怒られる結果だと思うので、もっと頑張らなきゃいけないですね」

 山形は2018年シーズン、J1復帰を目指しながら12位に終わった。天皇杯ではベスト4に進出したが、準決勝では負けられない「みちのくダービー」で仙台に敗れた。悔しさと、母への思いを胸に刻んで、栗山直樹はプロ7年目のシーズンに向かって行く。

 春美さんは生前、選手時代のことをあまり公にしたがらなかったそうなのだが、今回、栗山選手にお願いして記事にする許可をいただいた。栗山選手が話すエピソードから、毅然とした長身の素敵な女性を勝手に想像していた。できることなら会って話を聞いてみたいとさえ思っていた。

 審判員としての最後の試合が、高松宮記念杯全日本実業団バスケットボール選手権大会決勝の秋田銀行対山形銀行の試合だったというのも、今となっては何かの縁を感じる。

 栗山春美さんのご冥福を心からお祈りします。

取材・文●頼野亜唯子(フリーライター)
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