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会見では語られなかった想い。川口能活はなぜ「サッカーが嫌いになってしまう」と思ったのか?

カテゴリ:Jリーグ

小須田泰二

2018年12月01日

少年時代からの戦友も驚いた引退の告白「チームとして失うものは大きい」

ピッチ上では真のプロフェッショナルの姿を見せてきた。周囲の選手に与える影響も大きかった。(C) SOCCER DIGEST

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 この日もチーム全体の練習を終えた後、チーム最年長のベテランはなかなかグラウンドから出ようとしない。使用可能な時間ぎりぎりまで“居残り練習”は続いた。チームメイトのシュートを立て続けに受けては、およそ43歳とは思えないしなやかな身のこなしと反射神経でシュートストップを連発。「コンディションは悪くない」と自身が話していたように、想像していた以上に身体が軽そうだ。たまに強烈なシュートがネットを揺さぶれば、「悔しい!」「あと1本!」と叫び、すぐに態勢を立て直してゴールの前でふたたび身構える。居残り練習とはいえ1本のシュートすら決められたくない。負けず嫌いの虫がうずくのだろう。

 そして残り5分。最後の締めくくりとして、山口とのキック練習が始まった。30メートルの距離で互いにボールを蹴り合う。利き足の右足で蹴ったら、次は左足で蹴っていく。ゴールキーパーの仕事は、キャッチングやセービングだけではない。試合に出ることを想定して、しっかりとボールをミートさせる感覚を確かめるのだ。

「試合に出られない悔しさを練習にぶつける――。それが当たり前の光景だと思うけれど、当たり前の光景がSC相模原にはないから、いまの順位(17チーム中11位/33節終了時)なのだろう。やっぱり上を目指すには練習しかない。プロのお手本が来年からいなくなる。チームとしても失うものは大きいよ」

 山口と川口の出会いは、1996年のアトランタ五輪出場を目指していたユース代表(現・U-19日本代表)時代にさかのぼる。当時、山口は読売クラブ(現・東京ヴェルディ1969)の3年生で、川口は清水商高の1年生だった。
 
「遠征の帰りに実家に泊まりに来たこともあった。俺の父親が作った朝食を一緒に食べて静岡へ帰宅したことがあるけれど、あれからもう26年か。いままでずっと現役を続けてきただけでも偉大な選手だよ」

 少年時代からの戦友でもある川口。彼の口から引退のことを伝えられたのは11月初旬のことだ。その言葉を聞いた時、山口は驚きを隠せなかった。てっきり来年もプレーするだろうと思っていたからだ。
 
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