そして最終学年になり、主将にも就任してピッチ内外でチームを牽引。早稲田大の外池監督は岡田の存在価値を次のように語った。
「一緒にビジョンを考えたりとか、そういう部分については非常に積極的。言われたことをただやるのではなくて、自分で一回解答を出してくるので。そのあたりは“こういう学生はまだいるんだ”と思わせてくれました」

　言わずもがなピッチ内では目に見える結果を残し、その活躍も評価され町田への加入内定が発表された。

「守備の強度が高いなかで、それをやりきったなかで攻撃をどれだけできるかというところ、そこも含めて成長ができる。また、町田が大きくなっている途中だったので、そこに貢献したいと思えました」と、加入の決め手について語るが、彼にとっては町田で活躍することはあくまでも通過点なのである。

「僕自身は海外に行きたいと考えている」

　これまで大学経由でJ２のクラブへ進む選手の口からこのような言葉を聞いたことはない。岡田が初めてだ。一般的に考えればこの発言は無謀に聞こえる。しかし、彼の語り口からはその本気度が伝わってきたし、町田における自身の立ち位置を理解しつつ真剣に夢を語る彼を前にして、否定的な言葉は出てこなかった。話し相手にそう思わせるのも、彼の持つ大きな力なのかもしれない。

「自分と岡田の親同士も仲が良くて。あいつが１年早くセレクションを受けてフロンターレに入ったんですよ。自分はフロンターレの存在なんてまったく知らなかったんですけど、次の年に岡田に『康児もセレクション受けてみろよ』言われて。力試しで受けようと思ったら、通ったんです」

　これは三好の言葉だ。

　先にフロンターレの門を叩いたのは岡田であったが、彼が誘った三好のほうが現時点では先を進んでいる。だからこそ、冒頭に引用したように、この誇らしい同期の活躍が岡田の原動力になるのだろう。

　挫折間際から這い上がってきた早稲田の主将は、この４年間の締めくくりとして、チームにとって2012年以来の王座獲得のために冬のインカレへ挑む。

取材・文●竹中玲央奈（フリーライター）