新生マンチェスター・ユナイテッドの初期診断 ファン・ハールは何をどう変えたか?

カテゴリ:メガクラブ

内藤秀明

2014年08月07日

「3枚のサイド」に適性のある即戦力の補強が不可欠。

このジョーンズをはじめ、既存のセンターバックは「3枚のサイド」には不向き。即戦力の補強は不可欠だろう。 (C) Getty Images

画像を見る

 その一方で、肝心の3バックが人材不足という問題を抱えている。ネマニャ・ヴィディッチ(インテルへ)、リオ・ファーディナンド(QPRへ)の退団で駒自体が不足しているうえに、既存のセンターバック陣はいずれも3バックへの適性がそれほど高くないのだ。
 
 現状では、ジョーンズ、クリス・スモーリング、ジョニー・エバンスのレギュラークラスに、マイケル・キーン、タイラー・ブラケットというユース出身の選手を加えた5人が陣容のすべてだ。MFのダレン・フレッチャーやマイケル・キャリックが対応するとはいえ、急場凌ぎにすぎない。
 
 ジョーンズ、スモーリング、エバンスの3人は、「3枚の中央」はこなせても、ビルドアップ能力やサイドに流れての対人守備が求められる「3枚のサイド」は厳しい。左利きの20歳のブラケットが、このポジションの適性を持った唯一といっていい人材だ。
 
 センターバック、わけても「3枚のサイド」を高水準でこなせる即戦力の補強が、したがって不可欠だ。ドルトムントでプレーするドイツ代表のマッツ・フンメルスが獲得候補として取り沙汰されているのは、決して偶然ではない。ドイツのワールドカップ優勝に大きく貢献したフンメルスは、長短織り交ぜた正確無比のフィードを持つ。
 
 同じく噂に上っている名前では、オランダ代表でファン・ハールに師事したブルーノ・マルティンス・インディ(フェイエノールト)が適材だ。一方で、アーセナルのトーマス・ヴェルメーレンは、左利きで足下の技術が高いものの、パス出しのタイミングが悪く、「3枚のサイド」では思うように機能しないだろう。
 
 ファン・ハール監督は、「新しい戦術が機能するには少なくとも3か月はかかる」としているが、機能性がすでに一定のレベルに達していることは、強豪相手に無敗で終えたアメリカ遠征での好成績が証明している。
 
 昨シーズンは「夢の劇場(本拠地オールド・トラフォードの異名)」で悪夢を見たサポーターは、いま、期待に胸弾ませているはずだ。
 
文:内藤秀明
【関連記事】
【セルジオ越後の天国と地獄】もしポジションが取れなければ、レベルの合うクラブに移ればいい
【インターナショナル・チャンピオンズカップ】長友は初ゴール、香川はアシスト、本田は沈黙…で全日程終了
香川は「退団してもおかしくない状況」 マンチェスター地元紙が去就を予測
欧州メガクラブ オフの最新動向をチェック|マンチェスター・ユナイテッド編
オランダ代表 ファン・ハール監督が語る――W杯について、ユナイテッドについて

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト ガンナーズを一大特集!
    5月2日発売
    プレミア制覇なるか!?
    進化の最終フェーズへ
    アーセナル
    最強化計画
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ