青森山田はプレミアEASTで苦戦を強いられているものの、ベースは強固になりつつある。186センチの常田（２年）、180センチの小坂（３年）、186センチの菊池（３年）の長身３バックを軸に、右の小笠原（３年）、左の北城（２年）の両ウイングバックが攻守両面で機能する「サンフレッチェスタイル」の３-４-２-１のシステムが徐々に洗練されてきている。
 
　順当に勝ち進めば、難関となるのが３回戦だ。MF林（３年）を中心に縦にパワーのある尚志と、MF塚越（３年）を軸にハイテンポなパスワークと裏への飛び出しを仕掛ける麻布大附の激突は、１回戦の隠れた好カード。勝った方が勢いに乗り、３回戦で青森山田に立ちはだかる可能性は十分にある。
 
　さらに、大阪桐蔭、前橋育英、市立船橋も強力なタレントを擁する有力チームだ。大阪桐蔭は鹿島内定のMF久保田和（３年）。前橋育英はＵ－17ワールドカップに出場したFW渡邉（３年）とMF鈴木（３年）。市立船橋には今大会ナンバーワンGKの志村（３年）がいる。
 
前橋育英は初戦で、選手権で２年連続ベスト４の京都橘と激突。スピード溢れる攻撃が武器の京都橘だけに、激しい撃ち合いが予想されるところ。市立船橋も激戦ブロックに入った。初戦でいきなり、ともに全国優勝の経験がある広島皆実と鵬翔の勝者との対決。どちらが勝っても、２回戦屈指の好カードだ。
 
　その他、激戦区の千葉を制した習志野をはじめ、身体能力の高さが魅力のCB星（２年）を擁する矢板中央、センス抜群のプレーメーカー富田（３年）がいる中京大中京、九州新人戦を制し古豪復活に懸ける鹿児島実、FW根子（３年）ら攻撃力の高い盛岡商や、今年はひと味違うスタイルの野洲などに注目したい。
 
　組合わせを見ると、総合力の高い有力チームが、ばらけた印象があり、“偏り”は感じられない。果たして、ここに挙げたチームが順当に勝ち上がるのか。それとも思わぬ伏兵が現われるのか。真夏の激闘に期待したい。
 
取材・文：安藤隆人（サッカージャーナリスト）
 
※『高校サッカーダイジェスト』VOL.6より抜粋。

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