避けてきた国家斉唱をW杯決勝では…。
「僕の心にあることだけを考えてみたんだ。クロアチア代表になれることを誇りに思うし、赤白チェックのユニホームに袖を通すことが今から待ち通しい」
息子の決意を聞いて涙するほど感激した父親だが、後に多くの脅迫めいた手紙や電話に悩まされ続け、家族のスイス国籍の取得を右翼政党に妨害されたりもした。しかし一家は今でもスイスに留まり、イバンを支えている。
そして、ビリッチの目論見通りヴァトレニの絶対的主力に成長していくラキティッチもまたスイスに配慮し、クロアチア国歌の斉唱は避けてきた。それでもロシアW杯の決勝では、かすかにその口元が動いていた。“心の選択”に従った11年前のことが、脳裏に浮かんでいたのかもしれない。
文:長束恭行
※『ワールドサッカーダイジェスト』9月6日号の連載「クロアチアW杯優勝メンバーの分岐点」より転載。同9月20日発売号では、マリオ・マンジュキッチとイバン・ペリシッチのストーリーを公開。
息子の決意を聞いて涙するほど感激した父親だが、後に多くの脅迫めいた手紙や電話に悩まされ続け、家族のスイス国籍の取得を右翼政党に妨害されたりもした。しかし一家は今でもスイスに留まり、イバンを支えている。
そして、ビリッチの目論見通りヴァトレニの絶対的主力に成長していくラキティッチもまたスイスに配慮し、クロアチア国歌の斉唱は避けてきた。それでもロシアW杯の決勝では、かすかにその口元が動いていた。“心の選択”に従った11年前のことが、脳裏に浮かんでいたのかもしれない。
文:長束恭行
※『ワールドサッカーダイジェスト』9月6日号の連載「クロアチアW杯優勝メンバーの分岐点」より転載。同9月20日発売号では、マリオ・マンジュキッチとイバン・ペリシッチのストーリーを公開。