「グループリーグで敗退した日本の結果には少し驚いた」
――日本とは、ブラジル入りする前に親善試合を戦い、敗れました。あの試合の印象は?
「あのゲームは、本大会での内容とはまったく異なるものだった。我々は前半、秩序を保ち、ボールを正確に処理でき、押し込むことができた。ところが後半は日本が作戦を変えてきたこともあり、やや集中力を欠き、チャンスを与えてしまった。とはいっても、重要だったのは結果ではなく、チームが機能したかどうかを分析することだったので、とても有意義なゲームだった」
――日本が決勝トーナメントに進めなかったのは驚きでしたか?
「そうだね、少し驚いた。今回の日本代表は、実力者が多く魅力的なチームだった。偉大な監督もいたしね。だが、ワールドカップとはそういうものだ。どんなに良い選手を揃えていても、ほんの少しでも相手にアドバンテージを与えてしまったら、大きな代償を払うハメになる。
日本の場合は2戦目のギリシャ戦での引き分けが痛かった。グループリーグ通過を決めていたとはいえ、ホセ・ペケルマンのコロンビアが手を抜くとは考えられず、彼らを相手に決勝トーナメントを懸けて戦わなければならなかったのは非常に悔やまれる。ただ残念な結果だったが、個々のレベルが向上しているのは明らかだ。本大会に連続出場し、アジアの強豪にも成長した。私も1000試合以上を戦い、失敗を繰り返してきたが、そこから学び、今を作ったんだ」
――他に気に入ったチーム、期待外れだったチームはありますか?
「ドイツは素晴らしかった。プレーのダイナミックさ、戦術的レベルの高さ、選手たちのコンディションの良さ、すべてにおいてハイレベルだった。オランダのカウンターの威力もすごかったね。ブラジルは初戦から心配になった。なによりも、相手にチャンスを与えすぎていた。アルゼンチンはグループリーグのパフォーマンスには疑問が残ったが、前線に勝負を決められる選手が多くいたのは強みだ。守備はデミチェリスが入ってグンと良くなった。
スペインとイタリアは、ハードなシーズンを過ごした影響が選手たちのコンディションに表われていた。イングランドについては、最近外国人の監督が増え、指導者を“輸出”することがほとんどなくなってきている。優れた指導者が不足している影響は、代表チームに表われるものだ」
――その点では、あなたの母国コロンビアでは指導者のレベルが向上し、多くの監督が国外で仕事をするようになっていますね。
「80年代から90年代にかけて、コロンビアでは指導者の育成に力を入れた時代があった。強豪国から著名な指導者を招いてセミナーを開き、コーチだけでなく、学生たちも積極的に参加していた。今のコロンビアには、若くて研究熱心な監督がたくさんいる。喜ばしいことだね」
時にコスタリカの人々から「頑固者」と批判されたピントだが、今ではその勤勉さと秩序正しい思考が絶賛されている。
ワールドカップでの結果が、ピントとティコスの関係を変えた。今、コスタリカ・サッカー連盟は、さらなる栄光を求め、ピント監督との契約更新を目指している。
【プロフィール】
ホルヘ・ルイス・ピント/ 1952年12月16日生まれ、コロンビア出身。指導歴30年を誇る老将。2011年に二度目のコスタリカ代表監督に就任。2大会ぶりのワールドカップ出場権を獲得し、本大会ではチームを史上初のベスト8に導いた。
※『週刊サッカーダイジェスト』7月29日号より抜粋。
取材・文:ファビアン・マウリシオ・ロソ・カスティブランコ/『マルカ・コロンビア』編集長
翻訳:チヅル・デ・ガルシア
「あのゲームは、本大会での内容とはまったく異なるものだった。我々は前半、秩序を保ち、ボールを正確に処理でき、押し込むことができた。ところが後半は日本が作戦を変えてきたこともあり、やや集中力を欠き、チャンスを与えてしまった。とはいっても、重要だったのは結果ではなく、チームが機能したかどうかを分析することだったので、とても有意義なゲームだった」
――日本が決勝トーナメントに進めなかったのは驚きでしたか?
「そうだね、少し驚いた。今回の日本代表は、実力者が多く魅力的なチームだった。偉大な監督もいたしね。だが、ワールドカップとはそういうものだ。どんなに良い選手を揃えていても、ほんの少しでも相手にアドバンテージを与えてしまったら、大きな代償を払うハメになる。
日本の場合は2戦目のギリシャ戦での引き分けが痛かった。グループリーグ通過を決めていたとはいえ、ホセ・ペケルマンのコロンビアが手を抜くとは考えられず、彼らを相手に決勝トーナメントを懸けて戦わなければならなかったのは非常に悔やまれる。ただ残念な結果だったが、個々のレベルが向上しているのは明らかだ。本大会に連続出場し、アジアの強豪にも成長した。私も1000試合以上を戦い、失敗を繰り返してきたが、そこから学び、今を作ったんだ」
――他に気に入ったチーム、期待外れだったチームはありますか?
「ドイツは素晴らしかった。プレーのダイナミックさ、戦術的レベルの高さ、選手たちのコンディションの良さ、すべてにおいてハイレベルだった。オランダのカウンターの威力もすごかったね。ブラジルは初戦から心配になった。なによりも、相手にチャンスを与えすぎていた。アルゼンチンはグループリーグのパフォーマンスには疑問が残ったが、前線に勝負を決められる選手が多くいたのは強みだ。守備はデミチェリスが入ってグンと良くなった。
スペインとイタリアは、ハードなシーズンを過ごした影響が選手たちのコンディションに表われていた。イングランドについては、最近外国人の監督が増え、指導者を“輸出”することがほとんどなくなってきている。優れた指導者が不足している影響は、代表チームに表われるものだ」
――その点では、あなたの母国コロンビアでは指導者のレベルが向上し、多くの監督が国外で仕事をするようになっていますね。
「80年代から90年代にかけて、コロンビアでは指導者の育成に力を入れた時代があった。強豪国から著名な指導者を招いてセミナーを開き、コーチだけでなく、学生たちも積極的に参加していた。今のコロンビアには、若くて研究熱心な監督がたくさんいる。喜ばしいことだね」
時にコスタリカの人々から「頑固者」と批判されたピントだが、今ではその勤勉さと秩序正しい思考が絶賛されている。
ワールドカップでの結果が、ピントとティコスの関係を変えた。今、コスタリカ・サッカー連盟は、さらなる栄光を求め、ピント監督との契約更新を目指している。
【プロフィール】
ホルヘ・ルイス・ピント/ 1952年12月16日生まれ、コロンビア出身。指導歴30年を誇る老将。2011年に二度目のコスタリカ代表監督に就任。2大会ぶりのワールドカップ出場権を獲得し、本大会ではチームを史上初のベスト8に導いた。
※『週刊サッカーダイジェスト』7月29日号より抜粋。
取材・文:ファビアン・マウリシオ・ロソ・カスティブランコ/『マルカ・コロンビア』編集長
翻訳:チヅル・デ・ガルシア