ただ、最後にシュートを狙ったのが悪かったのかといえば、そうではない。失敗は次に繋がるからだ。
 
　鈴木勝大監督は３年前の卒業生で東京五輪世代のエース候補・小川航基（磐田）に掛けた言葉を引用しながら、決勝での経験を生かして欲しいとした。
 
「小川にも同じような言葉を掛けましたが、自分の放つシュートがアジア予選を勝ち抜く１対１になるかもしれない。西川は自分の将来も日本の未来も背負ってプレーをしている。そういう１本の景色を変えるプレーを彼には学習して欲しい。次はそういうことがないようにして欲しいし、自分自身で優勝や代表権を勝ち得られるような選手に成長して欲しいと思っています」
 
　指揮官がこうした言葉で発破を掛けるのも、日本の将来を背負うだけのポテンシャルがあるからこそ。既にJクラブが争奪戦を繰り広げており、多くの人が西川に期待を懸けている。

　良薬は口に苦し。高校２年生の夏に味わった挫折はきっと西川の糧になる。逸材の伸びしろはこんなものではない。冬の選手権ではより一層逞しくなった姿を見せてくれるはずだ。

取材・文●松尾祐希（サッカーダイジェストWeb編集部）