【W杯 今日は何の日?】7月8日「ワールドカップ史上初のPK戦決着」

カテゴリ:国際大会

サッカーダイジェストWeb編集部

2014年07月07日

歴戦の勇者たちが追い詰められた異様な緊張のなかでの戦い。

後世に語り継がれる究極の一戦を戦った両チームの選手たちが、32年後の今年2月、パリに集った。みんな歳を取ったが、思い出と興奮は、年十年経っても、当時のまま人々の心に残っている。 (C) Getty Images

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 フランスが延長戦で2点のリードを奪い、ほぼ勝負は決したと思われたが、西ドイツは97分に投入されたカールハインツ・ルムメニゲを軸としてここから奮起。チーム全体の動きが多くなり、ボールを持つ時間が長くなる。

 そして102分、スムーズなパスワークからリトバルスキーがゴール前に入れたライナー性のボールに、本来はエースだが、コンディションが悪くベンチスタートに甘んじていたルムメニゲが、身体を投げ出しながら反応、無理な体勢からゴールに流し込んだ。
 
 さらに勢いを増した西ドイツは108分、左サイドを抜け出したリトバルスキーがクロスを上げる。これをファーサイドでホルスト・ルベッシュが中央に頭で折り返すと、ゴールに背を向けていたクラウス・フィッシャーが身を躍らせ、オーバーヘッドシュートでゴールネットを揺らした。まさに、ゲルマン魂の真髄がここに見えた。
 
 完全に形勢は逆転し、西ドイツは押し込み、フランスは逃れるのが精一杯という状況で、試合は120分を終える。ついに試合は、ワールドカップ史上初のPK戦によって決着をつけられることとなった。
 
 フランスのアラン・ジレスのキックで始まった11メートルの戦いは、西ドイツの3人目、ウリ・シュティーリケが失敗して動きを見せる。フランスはリードを奪いたかったが、4人目のシスがシューマッハーの好守に阻まれた。5人目で登場した両チームのエース、プラティニとルムメニゲがしっかりGKの動きを見て逆を突いたあたりはさすがだったが、ルムメニゲは後に「心臓が飛び出るかと思った」と、当時の緊張状態を振り返っている。
 
 息詰まる戦いはサドンデスに入り、フランスの6人目、マキシム・ボッシが甘いコースに蹴ってシューマッハーに弾き返される。対する西ドイツは、ルベッシュが冷静に決めた。21時15分キックオフの試合はようやく終幕。すでに時は日を跨ごうとしていた。
 
 敗れたフランスのキャプテン、プラティニが「あらゆる感情が一気に溢れ出した、キャリアのなかで唯一の試合」と語った一戦。単にワールドカップ史上初のPK戦というだけでなく、選手やスタッフ、そして観る者の魂を激しく震わせる究極の戦いでもあった。
 
【写真でふりかえる】ワールドカップの全PK戦(1982準決勝~2014準々決勝)
 
 
◆7月8日に行なわれた過去のW杯の試合
 
1982年スペイン大会
「準決勝」
ポーランド 0-2 イタリア
西ドイツ 3(5PK4)3 フランス
 
1990年イタリア大会
「決勝」
西ドイツ 1-0 アルゼンチン
 
1998年フランス大会
「準決勝」
フランス 2-1 クロアチア
 
2006年ドイツ大会
「3位決定戦」
ドイツ 3-1 ポルトガル
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