【W杯 今日は何の日?】7月5日「最強軍団、試合巧者の術中に嵌る」

カテゴリ:国際大会

サッカーダイジェストWeb編集部

2014年07月05日

優れた技術、判断力、即興性が融合したブラジルの芸術的攻撃。

イタリアにとっての問題は、ブラジルの強力な攻撃のみ。ここでジェンティーレがジーコを徹底マークして脅威を半減させたことで、計算通りに勝利は転がり込んできた。 (C) Getty Images

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 1982年7月5日、いまなお史上最高レベルの戦いと評される一戦が、スペイン・バルセロナのエスタディオ・サリアで行なわれた。大会前からの優勝候補筆頭で、試合ごとにその評価が高まっていったブラジル(4戦全勝)と、1次リーグでは3引き分けであわや敗退の危機にも晒されたイタリアの対戦である。
 
 この大会、2次リーグでは3チームが総当たりで対戦し、1位が準決勝へ進むという方式が採られ、ブラジル、イタリアともに、前回王者アルゼンチンを下して最終戦を迎えていた。ブラジルは1次リーグの勢いそのままに、アルゼンチンを圧倒して3-1の勝利。一方のイタリアは、それまでの不調が嘘のように、鮮やかなカウンター2発で難敵を下してきた(スコアは2-1)。
 
 攻撃のブラジル、守備のイタリアという持ち味を前戦で発揮して、迎えた直接対決。試合は5分に、パオロ・ロッシのヘッドによる先制弾でいきなり動く。80年に起こった大規模な八百長事件に関与したとして2年間の出場停止処分を受け、大会前にようやくピッチに戻ってきたロッシは、1次リーグでは不振を極め、起用し続けたエンツォ・ベアルツォット監督とともにメディアや国民から大非難を浴びたが、この大事な一戦で眠っていた抜群の得点感覚が蘇った。
 
 対するブラジルは、すぐに反撃を開始。12分、ジーコがドリブルからの鋭い切り返しでマーカーのクラウディオ・ジェンティーレを置き去りにし、前線に走り込んだソクラテスに、コース、タイミング、強さともに完璧なパスを通す。ソクラテスは角度のない位置から名GKディノ・ゾフの脇を抜くシュートを放ち、試合をタイに戻した。
 
 まさに、ブラジルの攻撃の良さが全て出た場面だった。ジーコ、ソクラテスに、ファルカン、トニーニョ・セレーゾを加えた「黄金の中盤」と呼ばれた4人が、それぞれの優れた技術、判断力、そして即興性を融合させ、相手が全く予測できない連係プレーでゴールを陥れるのがブラジルの攻撃の基盤である。これに、ジュニオール、レアンドロの超攻撃的な両SBが絡み、前線ではエデル、セルジーニョが積極的にゴールを狙った。
 
 68分の2点目は、ジュニオールが独自の判断によりドリブルで中央に切れ込み、右サイドのファルカンに渡すと、セレーゾが抜群のタイミングの走り出しで全てのイタリアDF陣の注意を引きつける。これでゴール前にぽっかりとシュートコースが空き、ファルカンは強烈なミドルでゴールを決めることに成功したという、まさに名手たちによるアドリブの共演だった。
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