早急な監督選びには違和感。日本サッカー協会は、まずこの4年の紆余曲折を総括すべきだ

カテゴリ:日本代表

加部 究

2018年07月07日

「46日間」でも好結果を生んだ西野ジャパンだが、「46日間」で十分だったのか?

ベスト16という結果を出した西野ジャパンだが、新体制での準備期間はわずか1か月程度で本大会に臨んだ。果たして、チームは十分に力を出し切れたと言えるのだろうか。写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

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 8年前に遡ると、当時の原博実技術委員長は、堅守速攻に舵を切りベスト16に進出した岡田武史監督の戦い方を否定する形で、アルベルト・ザッケローニ監督を招聘した。ベンチの指示待ちで、言われたことしかできない、と思われてきた日本の選手たちだが、まったくそんなことはない。実は岡田監督の翻意を促し、グループステージのデンマーク戦途中で戦術変更を主張したのもピッチ上の選手たちだった。
 
 ザッケローニ監督は、あくまで主導権を握って攻め勝つサッカーを目指し、それを選手たちは「自分たちのサッカー」と表現するようになる。しかしブラジル・ワールドカップで惨敗すると「自分たち~」は、戦術性を欠く無垢な姿勢と捉えられ、おそらく対戦相手に応じて策を使い分けるハリル氏招聘の流れにつながっていったはずだ。
 
 重要なのは、当時の霜田正浩技術委員長が、ハリルホジッチ前監督に何を求めたか、である。方法を問わずワールドカップへの出場だけを求めたなら、指揮官は任務を全うしたことになる。一方ハリル体制途中で技術委員長に就任する西野氏には、監督の支援と評価をする責務が託された。だからこそ技術委員長から監督に転身する際にも「非常に責任を感じる」と話している。
 
 西野氏が描くサッカーは、ロシア大会での采配を見れば明白だ。それでもデュエルをベースにリアクションに徹するハリル氏を解任せずに、とうとう土壇場で自分が代わりに指揮を執ることになる。確かに「46日間」でもハリル続投よりは好結果を生んだに違いない。しかし「46日間」で十分だったかは疑問だ。
 
 例えば、西野監督が開幕のコロンビア戦に送り出したメンバーも、3戦目のポーランド戦の2トップの布陣も、ぶっつけ本番だった。本大会3戦のスタメンは、就任3戦目(最後のテストマッチのパラグアイ戦)が重要な参考になったわけだが、本来なら機能するかを見極めるのに、せめてもう1~2試合は必要だった。またポーランド戦で主力を休ませるなら、特に新戦術のカギになる香川真司、柴崎岳のバックアップは予め選考しておくべきだった。若いメンバーを組み込めなかったことも含めて、やはり時間は足りなかったのだ。
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