【松木安太郎】2点リードという未知の世界に、日本代表は冷静さを失った

カテゴリ:連載・コラム

松木安太郎

2018年07月03日

柴崎でも次のワールドカップは30歳。新戦力の台頭は不可欠だ

今回のワールドカップで存在感を見せた柴崎。今後、軸になるのは間違いないだろう。写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

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 逆にそうした”守りの戦術”が出来なかったのは、グループリーグ第3戦のポーランド戦の終盤のパス回しが影響していたのかもしれない。あのプレーで世論が動いたよね。消極的だったとか、紳士的じゃないとか、批判の声も多かった。そういうネガティブな情報が入っていたから、選手たちに「見返してやろう」という気持ちが芽生えていたとしても不思議ではないよ。
 
 2点を追いつかれてから本田と山口を投入したけど、それも裏目に出たと言えるかもしれない。この選手交代で、やっぱり日本は点を取りに行ったんだ。最後のセットプレーの場面が象徴的だよね。吉田や昌子といったディフェンスラインの選手も前線に上がった。終了間近のアディショナルタイムに入っていたにも関わらずだ。
 
 勝負を決めたかった気持ちは分かる。でも、あそこで落ち着いて状況を判断できなかったかな。2点を追いつかれてリズムが悪いのだから、仕切り直しで延長からの勝負を考えてもよかった。日本が2点を取るまでの内容があまりにも出来過ぎていたので、選手たちもイケイケだったんだろう。決勝点を取りに行った結果、逆にカウンターで失点。まさに足をすくわれた格好だ。
 
 ワールドカップで世界と戦う難しさだと言えるかもしれないね。最後にカウンターを食らった場面も、本当の強豪国ならあそこまでリスクを犯さなかっただろう。吉田や昌子が上がったとしても、しっかりとカウンターのケアに人を残して、最低でも延長に持ち込む形を取っておくはずだ。
 
 今回のベスト16は、確かに今までのベスト16とは意味合いが違うかもしれない。でも、結果だけを見ると、結局ベスト16の壁を超えられていないんだ。みんな頑張っていたんだけど、西野監督の言葉のように「何か少し足りなかった」んだろう。
 
 もちろん、今回の経験は凄く大きなもので、選手も監督も貴重な財産を手にしたはずだ。ただ、今後は日本代表のメンバーも変わり、新たな代表チームが作られることになる。来年にはアジアカップがあり、再来年にはオリンピックがあって、4年後には再びワールドカップを迎える。それを考えると、オリンピック世代とA代表が上手く融合できるような体制を作りたいよね。柴崎あたりは次のA代表の中心になるはずだけど、彼にしても次のワールドカップは30歳。新戦力の台頭は不可欠だ。
 
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