【松木安太郎】2点リードという未知の世界に、日本代表は冷静さを失った

カテゴリ:連載・コラム

松木安太郎

2018年07月03日

日本に足りなかったのは、勝っている時のマネジメント

2点を先行したが、69分に失点すると冷静さを失い、攻め気を出して2点を追加された。写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

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 残念だった。勝てた試合だったね。日本初のベスト8進出を目指したベルギー戦は、2点を先行してからの逆転負け。勝利に手がかかっていただけに、チームのショックは大きかっただろう。
 
 前半はプラン通りに無失点で乗り切れたし、それなりにチャンスも作っていた。相手の選手の特長をディフェンス陣が徹底的に抑えていた。ルカクやアザールに何もさせなかったからね。最高の出来だった。そして、後半の立ち上がりに良い形で2得点。狙い通りに自分たちのペースで戦えたから、繰り返しになるけど勝てる試合だったよ。
 
 ただ、そこから世界の底力でやられてしまった。69分に不運な形でヘディングシュートを決められると、その5分後には完全に相手の狙っていた高さを活かしたクロスからの攻撃で失点。そして終了間際の90+4分にカウンターで逆転弾を奪われたんだ。
 
 2-0の局面は、次の1点がどちらに入るかで全然流れが変わる。あのアンラッキーな失点からベルギーに流れを持って行かれてしまったよ。
 
 日本に足りなかったのは、勝っている時のマネジメントだよね。2-0になった後にどういった戦い方をするかという部分は、初めての経験だった。ワールドカップで強豪国相手に2点をリードしたことは過去1度もないんだ。プラン通りにことが進んでいたばっかりに、日本は2点を先行した後も自分たちのペースで進めようとしていたように見えたね。
 
 ベルギーはフェライニとシャドリを入れて点を取りに来た。日本もそのタイミングで、0-0のつもりで2点を守る方向にシフトするなり、時間を使うことを考えるべきだったと思う。でも、日本はそれほど引くわけでもなく、あわよくば追加点を取りたい、と攻めに出てしまったんだ。
 
 日本が劣勢に立ってからは、両サイドに起点を作られて、守備の人数が足りずにサイドを使われる場面が目立った。そして、そこからのクロスでピンチを迎えている。相手が選手を代えているのだから、日本もフェライニの高さをケアするためにDFを投入し、3バックにして守備を固めてもよかった。また、ボールを奪った時にもっと落ち着いて回すのも手だったと思う。
 
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