「世界的な批判を振り払うために…」英誌・熟練記者も日本の“時間稼ぎ”を憂う

カテゴリ:日本代表

マイケル・プラストウ

2018年06月29日

西野監督にはリスクと覚悟があった

GL突破に日本中が沸いた。だが、どこかすっきりしない感情を抱えているファンは少なくない。(C)Getty Images

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 日本国内でも受け止め方はさまざまだろう。
 
 ベスト16に進出した喜びはもちろんあるだろうが、どこかかき消されているような気がする。誇りに感じながらも、どこかで痛みや歪みを感じているからだ。日本におけるフットボールの評判そのものに悪影響を及ぼしたのかもしれない。朝からその議論で持ち切りだ。不正やルール違反があったわけではないが、その類に属する行動だと勘違いしているひとは大勢いる。少なくとも、スピリットに反すると捉えている。「日本サッカー」を疑問視しているのだ。
 
 もちろん、日本の選手だけで成立した事象ではない。ポーランド代表の同意、協力、納得がなければなし得なかっただろう。とはいえ、最終的に利益を得たのは日本だ。世界はそういう目で見ている。
 
 起こってしまったことはしょうがない。口の中に残る不味い感覚を、世界中から浴びせられている批判を拭い去る方法はひとつしかない。ラウンド・オブ16のベルギー戦で素晴らしい、誰もが納得するようなフットボールを見せるしかない。相手はFIFAランク3位のチームであり、グループリーグで戦った国々とは格が違う。何事も簡単には行かない。そのなかで日本は、成長した姿を見せつけなければならない。

 
 勝負に徹した西野朗監督。同じシチュエーションに置かれたなら、はたしてどれくらいの数の指揮官たちが同じ判断をしただろうか。意外と多いかもしれない。少なくともポーランド代表監督はそうしただろう!
 
 西野監督にとってキーワードとなったのは「冷静さ」「リスク」「覚悟」、そして「ラッキー」だった。
 
 まず、スタメンを6人も入れ替えた。キャプテンの長谷部誠と、2試合で得点を決めた4人全員(大迫勇也、香川真司、乾貴士、本田圭佑)を休ませたのだ。6人だと、3つの交代枠をはるかに超える。試合運びが上手く行かない場合、元に戻すこともできない。そのリスクと覚悟があったのだ。さらには、創造性豊かに酒井高徳に新しいポジションを与えた。そこには大胆さもある。チーム全体のモチベーションやコンディションを最優先し、先を見据えて戦った。なかなかできる決断ではない。
 
 試合前から分かっていたのは、コロンビアかセネガルのどちらかが勝てば、日本は負けても上に進めるかもしれないという点。「負けてもいい覚悟」があった。これが西野監督の冷静さをより深めたのかもしれない。
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