【週刊サッカーダイジェスト編集長が見た】日本対ギリシャ戦

カテゴリ:国際大会

週刊サッカーダイジェスト編集部

2014年06月20日

ザッケローニ監督の采配の拙さが日本から白星を遠ざけた。

勝つための采配を執ることができないザッケローニ監督。この大事な一戦でも策を講じることなく終わった。 (C) Getty Images

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◆後半の攻撃について
 
 にもかかわらず得点に至らなかったのは、日本が相手の守備ブロックの中に入れなかったためだ。サイドからの攻略自体は悪くなかった。岡崎が左に入り、本田も左寄りのプレーが多かったのは、サイドで数的優位を作って押し込むという狙いがあったからだが、問題は相手のブロックの中になかなか侵入できず、その周りでボールを横に回す時間帯が多かったこと。これでは、相手に脅威を与えることはできない。
 
 相手のブロックの中でボールを収められる強力なCF、鋭いドリブルで2、3人と相手をかわして守備網を突破できる選手、強烈なミドルシュートを放てる選手がいない日本の攻めは、普通にクロスを上げるだけの単純なもので、長身DFが揃う相手に難なくクリアされ続けた。
 
 この試合でも左サイドに流れることが多かった本田が、もう少し右サイドで起点となってチャンスを作り、逆サイドから得意のダイアゴナルな動きでゴール前に侵入する岡崎へクロスを送る形を作れれば、フィニッシュの場面も増えたかもしれない。しかし2列目を左から香川、本田、岡崎の3人で固定してきた弊害か、その並びを変えたこの試合では連動性が失われ、数的優位を作って相手を崩す動きもチグハグだった。

 大久保は積極的に仕掛けてファウルを得るなど、個人としては良いプレーを見せていたものの、チームとしてはアタッキングサードでの攻撃パターンの少なさを露呈することとなった。後半から出場した香川も、いつも以上に気合の入ったプレーを見せたが、厚みのある攻撃を作り出すには至らなかった。
 
◆采配について
 
 しかし、この試合で一番もどかしかったのは、ザッケローニ監督が攻めあぐねるチームに何の変化も施すことができなかったことだ。コートジボワール戦での敗戦を受けて、この試合では日本がどれだけ勇気を持って攻められるかというのが大きなテーマだったが、その点で選手は可能な限り戦っていたと思う。
 
 しかし、ザッケローニ監督はどうだったか? 後半に入り、相手が10人という状況で、なぜ4~5人の選手を自陣に留まらせる必要があったのか。選手には攻撃参加するよう口頭で指示を与えたのかもしれないが、あの緊迫した試合展開のなかでは、ピッチ上の選手はバランスを崩すリスクを冒せなかったのだろう。ならば、チームに勇気を与えるのは監督の仕事だ。

 あの場面では、例えばボランチかCBを1枚削って、齋藤学や清武弘嗣、あるいは柿谷曜一朗のようなアタッカーを投入して前線の人数を増やす。あるいは今野を左SBにずらして長友を中盤に押し上げたり、遠藤を最終ラインに下げて両SBに常に高い位置を取らせるなど、チーム全体に「攻めるんだ」というメッセージを送る采配が必要だった。
 
 相手のカウンターに備えてなのか、後方に無駄に選手を余らせておきながら、残り5分で吉田を前線に上げて、2試合連続のパワープレーを命じる采配は、これまでの指揮官の言動やメンバー選考から考えれば理解に苦しむ。

 相手が10人という状況の中で求められていたのは、ボールロストの危険性が高いパワープレーではなく、日本が理想とする数的優位を保った攻撃だったはず。交代枠を1枚余らせたことも含めて、監督采配の拙さが日本から白星を遠ざけたように思う。
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