ひとつのコンセプトとして有用なポゼッションだが…

ポルトガルで旋風を起こしている中島翔哉のように、サイドから決定的な仕事ができるアタッカーは誕生してきているが、まだ日本サッカー全体における絶対数は少ない。 (C) Getty Images
ポゼッションを基調とするクラブにとって、サイドアタッカーの存在は欠かせない。
なぜなら、いくらボールを支配しても、中央を固められると厳しくなる。そこで外側から個人技、もしくは連係を使い、バックラインを横切って混乱を与え、あるいは守備ラインを突破し、奥深くまで進入して深みを作り、ゴールの可能性を高めるのだ。
「防御線を越えられる攻撃者」
そういう選手がいることが、ポゼッションで勝つための条件なのである。それゆえ、バルセロナ、アヤックスのようなポゼッションを重視するクラブは、下部組織でリオネル・メッシのようなサイドアタッカーの人材の充実に力を注いでいる。
Jリーグでも、ポゼッションを下部組織から高め、ボール技術のある選手を揃えたチームは出てきた。しかし、いくらボールを回せても、勝負を制することはできない。サイドで幅を作り、防御線を突破できるようなアタッカーが足りないのだ。
日本サッカーが、ヴァイッド・ハリルホジッチ前代表監督が求めたような「フィジカル重視の縦に速いサッカー」に背を向けるなら、ポゼッションをもっと進化させる必要があるだろう。しかし……。
現在のJリーグでは、サイドアタッカーと呼べる人材は、片手で数えられるほどしかいない。ポゼッションはひとつのコンセプトとして有用だが、ポゼッションだけでゴールは生まれないのだ。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。
なぜなら、いくらボールを支配しても、中央を固められると厳しくなる。そこで外側から個人技、もしくは連係を使い、バックラインを横切って混乱を与え、あるいは守備ラインを突破し、奥深くまで進入して深みを作り、ゴールの可能性を高めるのだ。
「防御線を越えられる攻撃者」
そういう選手がいることが、ポゼッションで勝つための条件なのである。それゆえ、バルセロナ、アヤックスのようなポゼッションを重視するクラブは、下部組織でリオネル・メッシのようなサイドアタッカーの人材の充実に力を注いでいる。
Jリーグでも、ポゼッションを下部組織から高め、ボール技術のある選手を揃えたチームは出てきた。しかし、いくらボールを回せても、勝負を制することはできない。サイドで幅を作り、防御線を突破できるようなアタッカーが足りないのだ。
日本サッカーが、ヴァイッド・ハリルホジッチ前代表監督が求めたような「フィジカル重視の縦に速いサッカー」に背を向けるなら、ポゼッションをもっと進化させる必要があるだろう。しかし……。
現在のJリーグでは、サイドアタッカーと呼べる人材は、片手で数えられるほどしかいない。ポゼッションはひとつのコンセプトとして有用だが、ポゼッションだけでゴールは生まれないのだ。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。