難点だらけのFWだったパトリックはなぜ首位広島を牽引する存在にまで進化できたのか?

カテゴリ:Jリーグ

大島和人

2018年04月26日

「運ぶ」「動かす」にエネルギーを割かず「抜け出す」「合わせる」に専念

FC東京戦はパトリックが不発に。序盤の2失点が大きく響く展開となってしまった。写真:田中研治

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 城福監督も2018年の広島で「パトリックの長所だけを出す」ことに成功している。指揮官にその理由を尋ねると、こういう答えが返ってきた。

「いい守備からのいい攻撃というのをずっとやっている。カウンター、相手陣深くでボールを奪い返してもう一度サッカーをするところで、彼がゴール前にいたらボールが入る」

 今季の広島は4-4-2のオーガナイズで、高い位置からボールを狩りに行っている。強度の高い守備から「ショートカウンターにつながる奪い方」をする場面が多い。だからパトリックはボールを「運ぶ」「動かす」ところにエネルギーを割かず、「抜け出す」「合わせる」ことに専念できている。今季の6得点を振り返ると、得意のヘディングは3点あるが、そういう形をチームで作れている。

 一方でプレーヤーとしての成長、成熟を感じる部分もある。4月11日の横浜F・マリノス戦で決めたループシュート、同21日のサガン鳥栖戦で決めたミドルシュートなどは過去にない「クオリティ」を感じるものだった。今のパトリックはDFの視野から消える動きなど、フリーになるための駆け引きにも長けている。

「賢さを感じる」という筆者の感想を伝えると、パトリックはうなずき、「年を取っていっているので、経験から学んだことがある。そういうことかな」と返してきた。

 25日のFC東京戦で広島は1-3と敗れた。FC東京は早々に2点を奪ったことで、エリア内を固め、ディフェンスラインも下げていた。それは、パトリックの強みがあまり出ない状況だった。彼はそれでも7本のシュートを放ち、クロスへの飛び込みなどで「怖さ」を見せたが、4試合連続得点はならなかった。

 しかし、パトリックに気落ちした様子はなかった。
「我々はまだ1位なので焦る必要はない。10試合で1度しか負けていないのだから、首を垂れる必要もない。まだまだたくさんいい部分を出せると思うので、上を目指していきたい」

 彼はのべ6シーズンで、J1の4クラブを渡り歩いている。G大阪では14年の三冠や翌年度の天皇杯制覇に貢献した一方で、16年10月には右膝の重傷を負い、1シーズン近くを棒に振る苦難も味わった。つまり歓喜と挫折の両方を経験しているわけだが、今季の活躍ぶりを見ると、そのすべてを糧にしている。

 パトリックがメッシのようなテクニシャンに化けることは無いし、欠点の無いアタッカーになることもないだろう。ただ良いチームと巡り合えば彼の強烈な強みは生きる。何よりパトリックは30歳の今も成長し続けている。

取材・文●大島和人(球技ライター)

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