トリプル・レジスタで中盤のポゼッションは安定。
【考察:イタリア】
システムはダニエレ・デ・ロッシをアンカーに置き、ピルロ、マルコ・ヴェッラッティという2人のゲームメーカーを中盤センターに並べた「トリプル・レジスタ(司令塔)」の4-1-4-1。2トップではなく1トップの布陣を選んだのは、サイドアタックを重視するイングランドに対して、サイドで数的不利に陥るのを避けるため、サイドバックとサイドハーフの「縦のペア」で対応する態勢としたからだろう。
左SBのマッティア・デ・シリオ、GKジャンルイジ・ブッフォンが直前の故障で出場できないというアクシデントがあったため、GKにはサルバトーレ・シリグ、左SBには本来CBのジョルジョ・キエッリーニが入った。
SBに関しては、イグナツィオ・アバーテを右に起用してダルミアンを左に回すという対応もありえたが、スターリッジをはじめとするイングランドの右からの攻撃を抑える必要もあり、より守備的なキエッリーニをSBで起用することになった。
攻撃は最終ラインから中盤を経由してのビルドアップが主体。2CBがワイドに開いてその間にデ・ロッシが落ちる形でトライアングルを作り、両SBが同時にポジションを上げることで、ピッチ上の実質的な配置が3-4-2-1になるというメカニズムは、きわめて効果的に機能していた。
最終ライン中央に下がったデ・ロッシ、中盤のピルロとヴェッラッティの3人が、いずれも高いテクニックと広い視野、優れた戦術眼を持つゲームメーカータイプだけに、中盤のポゼッションは非常に安定しており、イングランドの前線のプレッシャーが甘いためもあって、スムーズに敵陣までボールを運ぶことが可能だった。
そこからの崩しは中央突破よりもサイドが主体。前述のとおりルーニーの戻りが遅いために、ダルミアンの攻撃参加によって右サイドで2対1の数的優位を作り出せた。
前線は1トップのバロテッリが、ひとりでイングランドの2CBを相手にしながら、基準点としてよく機能した。
ミランでよくやるように、ボールに触れず痺れを切らして中盤に下がってくることもなく、最前線でCBとの駆け引きを繰り返し、チャンスがあれば裏のスペースを狙い、あるいは足下にパスを受けてそこからコンビネーションを試みた。相手の挑発に全く乗らなかったこと、決勝ゴールを含めて三度の決定機に絡んだことなど、十分にポジティブなパフォーマンスだったと評価できる。
守備は高い位置からのプレスにこだわらず、ボールを失ったら自陣低めのゾーンにリトリートする安全第一の振る舞いが基本。2CBとキエッリーニと、4バックのうち3人がスピードを欠いているため、スピードに乗ったカウンターを武器とする相手に背後のスペースを与えないという意味でも、この選択は妥当なものだった。
ボールロスト直後のネガティブ・トランジション(攻から守への切り替え)では、注意深い予防的カバーリングでイングランドの「前4人」をしっかりマークしてフリーでパスを受ける形を作らせず、効果的なカウンターを許したのは数えるほどだった。
システムはダニエレ・デ・ロッシをアンカーに置き、ピルロ、マルコ・ヴェッラッティという2人のゲームメーカーを中盤センターに並べた「トリプル・レジスタ(司令塔)」の4-1-4-1。2トップではなく1トップの布陣を選んだのは、サイドアタックを重視するイングランドに対して、サイドで数的不利に陥るのを避けるため、サイドバックとサイドハーフの「縦のペア」で対応する態勢としたからだろう。
左SBのマッティア・デ・シリオ、GKジャンルイジ・ブッフォンが直前の故障で出場できないというアクシデントがあったため、GKにはサルバトーレ・シリグ、左SBには本来CBのジョルジョ・キエッリーニが入った。
SBに関しては、イグナツィオ・アバーテを右に起用してダルミアンを左に回すという対応もありえたが、スターリッジをはじめとするイングランドの右からの攻撃を抑える必要もあり、より守備的なキエッリーニをSBで起用することになった。
攻撃は最終ラインから中盤を経由してのビルドアップが主体。2CBがワイドに開いてその間にデ・ロッシが落ちる形でトライアングルを作り、両SBが同時にポジションを上げることで、ピッチ上の実質的な配置が3-4-2-1になるというメカニズムは、きわめて効果的に機能していた。
最終ライン中央に下がったデ・ロッシ、中盤のピルロとヴェッラッティの3人が、いずれも高いテクニックと広い視野、優れた戦術眼を持つゲームメーカータイプだけに、中盤のポゼッションは非常に安定しており、イングランドの前線のプレッシャーが甘いためもあって、スムーズに敵陣までボールを運ぶことが可能だった。
そこからの崩しは中央突破よりもサイドが主体。前述のとおりルーニーの戻りが遅いために、ダルミアンの攻撃参加によって右サイドで2対1の数的優位を作り出せた。
前線は1トップのバロテッリが、ひとりでイングランドの2CBを相手にしながら、基準点としてよく機能した。
ミランでよくやるように、ボールに触れず痺れを切らして中盤に下がってくることもなく、最前線でCBとの駆け引きを繰り返し、チャンスがあれば裏のスペースを狙い、あるいは足下にパスを受けてそこからコンビネーションを試みた。相手の挑発に全く乗らなかったこと、決勝ゴールを含めて三度の決定機に絡んだことなど、十分にポジティブなパフォーマンスだったと評価できる。
守備は高い位置からのプレスにこだわらず、ボールを失ったら自陣低めのゾーンにリトリートする安全第一の振る舞いが基本。2CBとキエッリーニと、4バックのうち3人がスピードを欠いているため、スピードに乗ったカウンターを武器とする相手に背後のスペースを与えないという意味でも、この選択は妥当なものだった。
ボールロスト直後のネガティブ・トランジション(攻から守への切り替え)では、注意深い予防的カバーリングでイングランドの「前4人」をしっかりマークしてフリーでパスを受ける形を作らせず、効果的なカウンターを許したのは数えるほどだった。