相手の攻撃トリオを抑え、リアクションプレーは厳禁。
重要なのは、必ずシュートでプレーを終わらせること。というのも、相手GKはあまり巧くないので、初戦で綻びを見せる可能性がある。そもそも、コートジボワールには守備的なディシプリンはなく、ディフェンスはずぼらな面がある。とはいえ、気分ひとつで豹変するので、油断は禁物だ。コートジボワールも3大会連続出場と意気込みも強いうえ、日本を恐れるような性質ではない。
特に、彼らの高い身体能力による動きや激しい当たりは要注意で、試合開始から日本は心して臨む必要がある。日本の強みである組織力や一体感を存分に活かしてプレーし、立ち上がりで気後れせず、リアクションプレーに走らないことだ。
そして、イタリア戦と同じミスをしてはならない。あの試合で日本は前半が素晴らしく良かったのに、後半は動きが減って逆転を許してしまった。同様の展開となれば、待っているのはコートジボワール得意のカウンター攻撃だ。前半、素早いショートパスでペースを握ったら、後半はボールを保持して右左へ相手を振り、辛抱強くプレーして主導権をキープしたい。
守備では、試合開始から相手にプレッシャーをかけて、トゥーレ・ヤヤ、カルー、ジェルビーニョの3人をしっかり抑えなくてはならない。特にSBと中盤の底に強力な守備力が欲しい。酒井高を右(原稿執筆時点では負傷の程度は分からず)、長友を左に置いて、可能ならばボランチに長谷部と、昨秋のベルギー戦で素晴らしいプレーを見せた山口を置く。長谷部はリーグ戦最終節にフル出場してようやく負傷から復帰した。今後の回復次第だが、彼の経験と強さは必要だ。
攻撃の鍵を握るのは香川、本田、岡崎の3人。コートジボワールの攻撃トリオに匹敵する存在だ。香川と本田は精神面でも士気を高める存在であり、岡崎の得点力はチームへ大きな影響力を与える。彼らに柿谷を合わせるか大迫を合わせるか。
大久保を登録メンバー加えたのはとても良い選択だと思う。彼には強い個性と経験があり、雰囲気も良い。特にシュートで終わらせる力があるのでCF起用も可能で、あるいは好調な岡崎をCFに回し、大久保を右MFに置く手もある。
いくつかの組み合わせが考えられるが、いずれもコートジボワール戦が局面での激しい戦いとなる点を十分考慮し、相手と闘い、かつ素早いショートパスで組み立てをできる者が先発の条件になる。だが、相手が激しく出てくる分、日本がFKを得る機会は増え、FKが貴重な得点源になるだろう。本田や遠藤はキックの精度が高いので積極的に狙いたい。
昨年はブラジルの地で手痛いレッスン料を払ったが、そこで学んだことをコートジボワール戦で活かせばいい。この初戦の結果は、大会を戦ううえで非常に重要だ。なんとしても勝利、最低でも勝点1を手にすること。勝てれば勝点3だけでなく、自分たちへの自信を身に付けられる。日本の成長は著しい。より成熟したプレーを見せられると信じている。
解説:フィリップ・トルシエ(元日本代表監督)
1955年生まれ、フランス出身。90年代にはコートジボワールやナイジェリア、南アフリカの代表監督を歴任。98年から02年まで日本代表の監督を務め、02年日韓ワールドカップではベスト16に導く。11~13年には中国2部のクラブで指揮を執った。
取材・構成:木ノ原句望(スポーツジャーナリスト)
※『週刊サッカーダイジェスト』6月3日号P24~25より抜粋。
特に、彼らの高い身体能力による動きや激しい当たりは要注意で、試合開始から日本は心して臨む必要がある。日本の強みである組織力や一体感を存分に活かしてプレーし、立ち上がりで気後れせず、リアクションプレーに走らないことだ。
そして、イタリア戦と同じミスをしてはならない。あの試合で日本は前半が素晴らしく良かったのに、後半は動きが減って逆転を許してしまった。同様の展開となれば、待っているのはコートジボワール得意のカウンター攻撃だ。前半、素早いショートパスでペースを握ったら、後半はボールを保持して右左へ相手を振り、辛抱強くプレーして主導権をキープしたい。
守備では、試合開始から相手にプレッシャーをかけて、トゥーレ・ヤヤ、カルー、ジェルビーニョの3人をしっかり抑えなくてはならない。特にSBと中盤の底に強力な守備力が欲しい。酒井高を右(原稿執筆時点では負傷の程度は分からず)、長友を左に置いて、可能ならばボランチに長谷部と、昨秋のベルギー戦で素晴らしいプレーを見せた山口を置く。長谷部はリーグ戦最終節にフル出場してようやく負傷から復帰した。今後の回復次第だが、彼の経験と強さは必要だ。
攻撃の鍵を握るのは香川、本田、岡崎の3人。コートジボワールの攻撃トリオに匹敵する存在だ。香川と本田は精神面でも士気を高める存在であり、岡崎の得点力はチームへ大きな影響力を与える。彼らに柿谷を合わせるか大迫を合わせるか。
大久保を登録メンバー加えたのはとても良い選択だと思う。彼には強い個性と経験があり、雰囲気も良い。特にシュートで終わらせる力があるのでCF起用も可能で、あるいは好調な岡崎をCFに回し、大久保を右MFに置く手もある。
いくつかの組み合わせが考えられるが、いずれもコートジボワール戦が局面での激しい戦いとなる点を十分考慮し、相手と闘い、かつ素早いショートパスで組み立てをできる者が先発の条件になる。だが、相手が激しく出てくる分、日本がFKを得る機会は増え、FKが貴重な得点源になるだろう。本田や遠藤はキックの精度が高いので積極的に狙いたい。
昨年はブラジルの地で手痛いレッスン料を払ったが、そこで学んだことをコートジボワール戦で活かせばいい。この初戦の結果は、大会を戦ううえで非常に重要だ。なんとしても勝利、最低でも勝点1を手にすること。勝てれば勝点3だけでなく、自分たちへの自信を身に付けられる。日本の成長は著しい。より成熟したプレーを見せられると信じている。
解説:フィリップ・トルシエ(元日本代表監督)
1955年生まれ、フランス出身。90年代にはコートジボワールやナイジェリア、南アフリカの代表監督を歴任。98年から02年まで日本代表の監督を務め、02年日韓ワールドカップではベスト16に導く。11~13年には中国2部のクラブで指揮を執った。
取材・構成:木ノ原句望(スポーツジャーナリスト)
※『週刊サッカーダイジェスト』6月3日号P24~25より抜粋。