【日本代表W杯の軌跡】可能性がある限り――|06年ドイツ大会・クロアチア戦

カテゴリ:日本代表

週刊サッカーダイジェスト編集部

2014年06月07日

頑張りは称えられる。望みもつないだ。しかし…。

フリーで迎えた決定機で枠を外してしまった柳沢。象徴的な場面だったが、チームとして決定力不足は克服できないまま終わった。 (C) SOCCER DIGEST

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 守備のもたつきが切り替えに時間をかけさせ、サイドバックを絡めた攻撃にも厚みが出てこない。中田英は「遠目から打つことを意識してシュートに行ったが、その後、サイドに預けて攻撃するという、変化なり、リズムの緩急を付けられなかった」と回顧する。28分にはニコ・クラニツァールの豪快なミドルがバーを強震。39分にはパスミスからクラスニッチにも決定的なシーンを許すが、これもGK川口が瀬戸際で防いでくれた。
 
 後半、ジーコ監督は局面打開のため、福西に代えて稲本潤一を送り込む。宮本いわく「ヒデをより前に出すというイメージ」だ。役割が整理され、前かがりとなる日本。継続してサイドディフェンスは著しい危険にさらされていたが、それ以上にゴールをこじ開けようとする意図に、チームの動きも活発になる。50分には積極的なアップダウンを見せる加地が鋭いクロスを放ち、柳沢敦がゴール前で合わせたが枠を外してしまう。ギャンブルの状況下にあって、またしても決め切れない歯がゆさ……。
 
 ジーコ監督は運動量が激減した柳沢を諦めて玉田圭司を送るなど、先に手を打つ。システムは3-4-3へ。どちらに転んでもおかしくないスリリングなシーンが続き、果敢に攻め上がる加地や三都主の裏のスペースは、中田英と稲本が懸命に埋めた。ゲームの流れのなかで修復を試みる、このチームの最大の持ち味が発揮された時間帯だ。とはいえ、スタミナが限界に達していた両雄はラストプレーに精度を欠き、0-0を告げる笛が鳴り響くこととなった。
 
 頑張りは称える。可能性を残し、最低限のハードルもクリアした。しかし、最終戦でブラジルから勝点3を奪うのは、途方もないチャレンジだ。宮本が出場停止となり、システムや戦術の再構築も必要とされる。もはや1日も無駄にはできない。極限の状態にまで追いつめられるワールドカップ。その本当の意味での重圧を、日の丸戦士たちは体感していることだろう。もはや、“妥協”の二文字は存在しないはずだ。
 
 ジーコジャパンの旅は、最終局面にさしかかっている。探し続けた「自分たちのサッカー」で結論を出してほしい。迷うことなく、躊躇せずに攻撃的に立ち向かえ! ジャパンここにありを見せつけろ! マックスのチャレンジがなければ、ひとつの回答も見出すことはできない。
 
 
◆2006年6月18日 ニュルンベルク
日本 0-0 クロアチア
 
【日本】
GK:川口
DF:加地、中澤、宮本、三都主
MF:福西(46分稲本)、中田英、中村、小笠原
FW:柳沢(61分玉田)、高原(85分大黒)
 
【クロアチア】
GK:プレティコサ
DF:シミッチ、R・コバチ、シムニッチ
MF:トゥドール(70分オリッチ)、N・コバチ、スルナ(87分ボスニャク)、バビッチ、クラニツァール(78分モドリッチ)
FW:クラスニッチ、プルソ
 
 
※週刊サッカーダイジェスト2006年7月4日号より

上段左から福西、中村、中澤、柳沢、加地、川口。下段左から中田英、三都主、高原、小笠原、宮本。 (C) SOCCER DIGEST

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